主要格付け会社、モンゴルの格付けを「B+」に引き上げ(モンゴル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月22日 1時10分
米国の大手格付け会社フィッチ・レーティングスは9月18日、モンゴルの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(LT IDR)を「B」から「B+」に引き上げ、見通しを「安定的」とした。また、10月4日には、同じく大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)・グローバル・レーティングも、モンゴルの長期ソブリン債格付けを「B」から「B+」に引き上げ、見通しを「ポジティブ」とした。
格付け引き上げの根拠として、フィッチは「モンゴルの鉱業部門の継続的に好調な業績に牽引された公的債務と対外債務の負担軽減が、フィッチの以前の予測を大きく上回った。また、外貨準備高の増加と債務の減少、対外債務の返済見通しの明確化(注1)により、資源価格の変動などのショックに耐える能力が強化された。さらに、6月の総選挙後の連立政権樹立(2024年7月25日記事参照)により、政策面の不確実性が減少した」と指摘しつつ、「依然として外部環境に対しては非常に脆弱(ぜいじゃく)」とも付け加えた。
S&Pは上振れシナリオとして、「鉱業部門の継続的な力強い成長(注2)と財政再建への政治的コミットメントにより、モンゴルの対外環境や財政状況が改善し、対外債務が経常収支の50%未満に減少するか、政府債務がGDP比30%未満に減少した場合、あるいは、モンゴルが制度や政策に関する予測可能性を大幅に改善した場合」に、格付けを引き上げる可能性もあると述べている。一方、下振れシナリオとして、「モンゴル経済が成長軌道から外れ、国家財政および債務の指標が大幅に悪化し、モンゴルの成長見通しが他のB+格付けの国より優れていないと判断した場合」には、見通しを「ポジティブ」から「安定的」に修正する可能性があると述べている。
(注1)モンゴルの今後の外貨建て国債の償還期限は2026年3月末にノマド債6億ドル(2024年2月13日記事参照)、2027年6月末にセンチュリー債5億ドル(2022年12月20日記事参照)が控えている。
(注2)フィッチ、S&Pともに2024~2027年のモンゴルの実質GDP成長率を年平均約6%と予想している(2024年5月29日記事参照)。
(藤井一範)
(モンゴル)
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