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トランプ米次期大統領による関税25%賦課の示唆に対するカナダの反応(カナダ、米国、メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月27日 15時45分

カナダのジャスティン・トルドー首相は11月25日、米国のドナルド・トランプ次期大統領が就任初日にメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課すと宣言し(2024年11月26日記事参照)、両国からの違法薬物や移民の流入がなくなるまでこの関税を維持すると発表したことを受け、発表から約2時間後にトランプ氏と電話会談を行った。

トルドー首相はカナダから米国に渡る不法移民の数は比較的少ないことを指摘するとともに、2国間の貿易や国境警備全般について話し合ったとして、「良い通話だった。両国の緊密で効果的なつながりや、協力して取り組むべき課題についても話し合った」と記者団にコメントした。

クリスティア・フリーランド副首相兼財務相とドミニク・ルブラン公安・民主主義制度・州政府間関係相がメディアに配信した声明では、2023年の米国の原油輸入の60%がカナダからであり、カナダは米国内のエネルギー供給に不可欠な存在であると指摘。また、現在カナダと米国は、特に米国の労働者にとってバランスが取れた状態で相互に利益をもたらしていること、また、カナダの米国からの輸入額は、中国、日本、フランス、英国の合計をも上回っていると説明した。

加えて、副首相らは、国境の安全を最優先に考えていると述べ、フェンタニルの密輸の主な責任は中国にあると指摘。カナダ国境サービス庁(CBSA)は入国港での検査強化、探知犬、最新技術を通じてオピオイド系麻薬の検出能力を継続的に強化し、違法薬物の国内外への出入りを防止していると説明した。

トランプ氏の声明に対しては、カナダ国内からもさまざまな声が上がっており、トルドー首相と政党を同じくする新民主党(NDP)代表のジャグミート・シン氏は「カナダの雇用が危機にさらされている。トルドーよ、立ち上がり必死に戦え」と強い懸念を表明した。また、オンタリオ州のダグ・フォード首相は「この規模の関税はカナダと米国の労働者の雇用に壊滅的な打撃を与える可能性が大きい」と指摘し、「最も親しい友人かつ同盟国から受けた最大の脅威で、家族が心臓を刺すようなものだ」とコメントしている。また、「国全体が一丸となりチームカナダとしての取り組みと対応が必要だ」と述べ、トルドー首相と各州首相らが貿易と国境問題について協議の場を持つよう要請。11月27日午後5時から、カナダ各州の首相を集めた協議が行われる予定となった。

2023年にカナダは総輸出額の77%以上を米国に輸出しており、追加関税が課せられた場合、カナダ経済は大きな打撃を受ける。声明の発表後間もなく、カナダ・ドルは1米ドル71セントを下回り、新型コロナウイルス禍の2020年5月以来の最低水準に下落している。

(井口まゆ子)

(カナダ、米国、メキシコ)

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