再エネ供給制度CRESS、既存需要家にも開放、託送料金は2027年まで維持(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月24日 0時10分
マレーシアのエネルギー移行・水資源変革省(PETRA)は1月16日、企業向け再生可能エネルギー供給制度(CRESS、注1)の対象を3月1日から拡大すると発表した(PETRAプレスリリース、マレー語のみ)。2024年9月にサード・パーティー・アクセス(TPA)を解禁した際には、中・高電圧を必要とする新規顧客、または追加電力購入を必要とする既存顧客に対象を限定していたが(2024年9月27日記事参照)、この制限をなくし、全ての中・高電圧需要家に広げる。CRESS開始時点では、対象需要家を制限していたことが課題視されていたが、今後は脱炭素化を目指す既存工場への導入も可能となる。
託送の基本料金(注2)は、電力基本料金(2024年12月27日記事参照)と同様に、3年サイクルで見直される。次の見直しは2027年に予定されているが、PETRAは今回の発表で、料金の変動幅を上下15%以内に収めることを明らかにした。料金を安定させることで、コストにかかる予見可能性を高め、再エネの供給拡大を図りたい考え。
PETRAによると、CRESSの下で2つのグリーン電力供給契約が締結された。1つが、国営投資会社カザナ・ナショナル傘下のエネルギー企業UEMレストラが香港系物流不動産会社ESRグループに再エネ電力を供給する契約。もう1つが、国営電力会社テナガ・ナショナルの子会社TNBリニューアブルズによるブリッジ・データセンターズへの400メガワット(MW)の供給契約だ。いずれも、CRESSを活用した初期の成功例として、今回の発表の中で取り上げられた。
(注1)需要家の企業が発電事業者との電力販売契約(PPA)に基づき、太陽光をはじめとする再エネ由来の電力を直接調達する制度。発電業者は、送電を担当する電力会社に託送料金を支払う。
(注2)託送の基本料金は、1キロワット時(kWh)当たり25セン(0.25リンギ、約8.8円、1リンギ=約35円)、エネルギー貯蔵システムを活用せず、安定的な電力供給が困難な場合は45セン。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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