米商務省、米友好国との取引拒否加担を要請した事業者リストを初更新(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 13時40分
米国商務省産業安全保障局(BIS)は6月27日、米国企業などに対してボイコット(取引拒否)を要請したと確認された事業者のリストを更新したと発表した。リストはBISが2024年3月に公表を開始し(2024年4月4日記事参照)、今回が初めての更新となる。
米国では2018年に反ボイコット法が、輸出管理改革法(ECRA)の一部として成立した。反ボイコット法は、外国政府が米国の友好国に対して取っている制限的な貿易慣行やボイコット政策などへ、物品や技術、情報の輸出などに従事している米国人(注1)の加担禁止などを義務づけるものだ。違反した場合、罰金や禁錮刑などの罰則が科される可能性がある(注2)。BISは、イスラエルに対するアラブ連盟加盟国のボイコットを主要事例に挙げつつ、全てのボイコットに同法が適用されるとしている。また、米国人は輸出管理規則(EAR)706.5条に基づき、特定のボイコットに関する加担要請を受けた際、反ボイコットコンプライアンス室(OAC)への報告が義務付けられている。報告を受けてボイコット加担要請を行ったと確認された事業者はリストに掲載される。リストは四半期ごとに更新される。同リストはあくまで、米国人が反ボイコット法を順守するための参考であり、リスト掲載の事業体に同法に基づく制裁が科されるわけではない。
今回の更新で、127の事業者がリストから削除された一方、57の事業者が追加された。これにより、現在リストに掲載される事業者数は130件で、マレーシアが33件で最多、パキスタン(18件)、バングラデシュ(16件)が続く。なお、日本は2件となっている。
今回削除された事業者について、BISは(1)誤認:外国の事業者がOACに報告すべきボイコット加担要請を行ったと、OACに報告した米国人が誤認した、または(2)是正:外国の事業者が米国の事業者との取引文書でボイコット加担要請の表現を削除した、との理由を説明している。BISは誤って掲載されたと思われる場合、またはリスト掲載について相談したい場合は、OACに連絡するよう求めている(注3)。
(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。
(注2)詳しくは商務省の解説ページを参照。
(注3)BISのプレスリリースに記載されるOAC連絡先はボイコット報告ページ。ただし、同ページでは、ボイコット報告以外の相談先として、問い合わせページまたは電話番号(202)482-2381が記載されている。
(葛西泰介)
(米国、日本)
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