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中国、出産・育児への支援措置を発表、休暇・医療制度や税制・労働環境も整備(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 1時30分

中国国務院は10月28日、「出産・育児支援に向けた政策体系整備の加速と出産・育児に優しい社会の建設に関する若干の措置」を発表した。出産・育児を支援する政策システムの整備により、出産、育児、教育にかかるコストを効果的に削減し、適度な出生水準を実現し、人口の質の高い発展の促進を下支えしていくとした。

同措置では、(1)出産・育児サービスの支援強化、(2)育児サービスシステムの構築、(3)教育、住宅、雇用などの面での支援強化、(4)出産・育児に優しい社会の雰囲気づくりの4点について、具体的な取り組みが盛り込まれた。

(1)では、条件を満たす地域は従業員基本医療保険に加入しているフレキシブルワーカー(注1)や農民工(農村から都市部への出稼ぎ労働者)などを出産保険へ組み入れるよう指導すること、出産・育児休暇制度を整備し、法律や規則で定められた産休・出産奨励休暇・配偶者の産休・育児休暇などの出産・育児関連の休暇(注2)の取得を保障することを規定した。また、出産・育児手当制度の実施プランと管理規定を策定すること、個人所得税の特別付加控除額を引き上げるとした(注3)。さらに、各地方が状況に応じて出産時の鎮痛剤および生殖補助医療に医療保険を適用するよう指導するとした。

(2)では、小児専門病院、女性・小児向け保健施設の設立や、総合病院などにおける産婦人科や小児科の設置を強化すること、包括的な保育サービスの供給を増やすこと、条件を満たす地域で状況に応じて総合保育施設の運営支援補助を奨励することなどを盛り込んだ。

(3)では、質の高い教育資源の供給を拡大し、教育無償化範囲の段階的な拡大を検討すること、条件を満たす地域において子女の多い家庭に対し、住宅積立金ローンの借り入れ限度額を引き上げるなどの措置を講じること、フレックスタイム制や在宅勤務の導入、職場による託児サービスの提供など、育児に優しい労働環境を構築するとした。

国家統計局の発表によれば、中国の2023年の出生数は902万人と前年から54万人減少し、2年連続で1,000万人を下回った。一方、65歳以上の人口の全人口に占める割合は15.4%となり、前年より0.5ポイント上昇するなど、少子高齢化が進んでいる(2024年1月29日記事参照)。

(注1)自営業、非全日制就業(パートタイマーなど)、新しい就業形態などの就労者を指す。

(注2)中国では一般的に、158日以上(国の規定で定めた98日に加えて各地方で60日の休暇延長を認めていることが多い)の産休、15日前後の配偶者の出産立ち会い休暇、5~20日程度の育児休暇(出産立ち合い休暇と育児休暇の期間は各地方で規定)の取得が認められている(各地方の休暇の例としては2022年8月19日記事参照)。

(注3)中国では個人所得税法の改正に伴い、2019年1月1日から特別付加控除制度が導入され、子女教育費、住宅家賃などの6項目について課税所得から控除できるようになった。2022年1月1日から3歳以下の乳幼児の養育に関する支出も個人所得税の控除対象となった(2022年4月6日記事参照)。また、2023年1月1日から子女教育費と3歳以下の乳幼児の養育に関する支出につき、1人当たりの控除限度額が毎月1,000元(約2万1,000円、1元=約21円)から2,000元に引き上げられた。

(張敏)

(中国)

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