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バイデン米大統領、「大統領選を戦い続けることを固く約束する」との書簡を民主党員に送付(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 11時10分

米国のジョー・バイデン大統領は7月8日、民主党員に対して、11月に行われる大統領選挙に向けて戦い続けることを固く約束するとする書簡を送った。複数の米主要メディアが報じた。6月に行われたドナルド・トランプ前大統領との討論会を経て、民主党内からは候補者交代を求める声が上がっていた(2024年7月1日記事参照)。今回の書簡にはバイデン氏に撤退を求める議員らを牽制する狙いがあるとみられる。

書簡では冒頭で「マスコミやそのほかのあらゆる憶測はあるが、私はこのレースにとどまり、このレースを最後まで戦い抜き、ドナルド・トランプを打ち負かすことを固く決意している」と記した。懸念されている高齢に伴うリスクに触れつつも、「私はこれら全てに対して、はっきりと明確に言うことができる。2024年にドナルド・トランプを打ち負かすには自分が最適の人物だと絶対に信じていなければ、私は再度立候補していない」と強い決意を示した。また、民主党の予備選挙では全投票数の87%に当たる1,400万票以上を得て、3,900人近い代議員を獲得したとし(2024年6月11日記事参照)、こうした民主党員の有権者が行った民主主義的プロセスを無視できないとした。書簡ではさらに、1,500万人以上の雇用を創出したなどと自身の実績を述べたほか、大統領選の争点の1つになっている人工妊娠中絶について(2024年6月17日記事参照)、2022年6月に破棄された「ロー対ウェイド」判決(2022年6月27日記事参照)を復活させると記すなど、共和党との政策方針の違いを述べた(注)。最後に「今こそ団結し、統一された党として前進し、ドナルド・トランプを打ち負かすときだ」と締めくくった。

一方で、民主党議員の多くは、バイデン氏がトランプ氏を打ち負かし、さらに4年間の任期を全うできるかに疑問を持っていると報じられている(政治専門紙「ポリティコ」7月8日)。バイデン氏が書簡を送る前まで、公にはロイド・ドゲット下院議員(テキサス州)をはじめ(2024年7月8日記事参照)、マイク・クイグリー下院議員(イリノイ州)、ラウル・グリハルバ下院議員(アリゾナ州)、セス・モールトン下院議員(マサチューセッツ州)、アンジー・クレイグ下院議員(ミネソタ州)の5人がバイデン氏に選挙戦からの撤退を求めた(政治専門紙「ザ・ヒル」7月8日)。さらに、バイデン氏が書簡を送った7月8日の夕方には、アダム・スミス議員(ワシントン州)がバイデン氏は撤退すべきとCNNに語った。

米メディアのアクシオス(7月8日)は、7月8日午前中にバイデン氏が書簡を出したのは、こうした議員からの撤退を求める声を抑え込もうとするためだと指摘している。議会は7月4日の独立記念日に合わせた休会が終わり、8日に再開されたため、同日以降、首都ワシントンに戻ってきた議員からバイデン氏に対して撤退を求める声が高まるのではないかと予測されていた。スミス議員のように、書簡送付後も撤退を求める声が出てくるのか、バイデン氏がこのまま大統領候補者とし指名されるのか、今後の動向が注目される。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注)なお、共和党全国委員会は2024年の政策綱領で、人工妊娠中絶については、厳しい基準を設けるとするこれまでの主張から、軟化した内容で採択した(2024年7月9日記事参照

(赤平大寿)

(米国)

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