南ア、トランプ米次期政権との緊密な協力望むも、貿易への懸念は強く(南アフリカ共和国、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月27日 11時50分
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は11月6日、米国大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ前大統領に祝意を示した。ラマポーザ大統領のメッセージは報道官を通じて伝えられた。報道官はメディアに対し、大統領はトランプ次期政権と2国間の幾つかの分野で緊密に協力することを望んでおり、12月1日に始まる南アのG20議長国の期間も協力していきたい意向だという。米国は南アの次にG20議長国を務める予定だ。
報道では、トランプ氏の勝利は市場にマイナスの反応を引き起こし、新興市場への影響を投資家が懸念したことから、11月6日には南ア通貨ランドが2%以上下落したと述べている。また、12日付の「ビジネス・デイ」紙は、トランプ氏の政権復帰により国際経済環境が変化し、南アの輸出動向にもマイナスの影響もたらし、投資家心理を冷え込ませる可能性があると報じている。
最も大きな懸念は、南アを含むサハラ以南アフリカ(SSA)の34カ国から1,835品目を対象に、米国市場への無税アクセスを提供するアフリカ成長機会法(AGOA)が脅かされる可能性があるということだ。南アは主に自動車や農産物の輸出について、AGOAから大きな恩恵を受けている。自動車分野ではプレトリア郊外のシルバートンに米フォードが生産拠点を構え、完成車は米国に輸出される。南ア食品加工企業のDCフーズはメディアのインタビューで「AGOAを背景にビジネスは大きく成長し、工場の拡張や雇用促進を進めてきた」と語り、AGOAが更新されなかった場合、「ビジネスに大きな影響を与える」と述べた。同社は東ケープ州に拠点を置き、冷凍フルーツやアイスクリームを製造して、米大手小売りのコストコに卸しており、日本にも輸出している。
11月6日付の「エンジニアリング・ニュース」紙によると、ノースウェスト大学ビジネススクールのレイモンド・パーソンズ教授は、トランプ次期政権の樹立により、保護主義的傾向が高まり、南アの輸出全般に対するリスクが高まる可能性があると述べている。パーソンズ氏はさらに、南アは今後起こり得る政治的変化にかかわらず、米国と共通の基本的な経済的利益を守るかたちで、米国との経済外交を再定義する必要があると指摘した。
(的場真太郎、トラスト・ムブントゥガイ)
(南アフリカ共和国、米国)
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