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ジェトロ、米アリゾナ州にビジネスミッション派遣、日系企業が半導体エコシステムの理解深める(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月21日 0時40分

ジェトロは11月14~15日、米国アリゾナ州に日本企業による投資環境ミッションを派遣した。同ミッションは在ロサンゼルス日本総領事館に加え、アリゾナ州の投資誘致機関のフェニックス都市圏経済協議会(Greater Phoenix Economic Council:GPEC)とアリゾナ商業公社(Arizona Commerce Authority:ACA)の協力の下、日系企業からは半導体関連のほか、物流や建設、金融機関など27社37人が参加した。

アリゾナ州では半導体産業の隆盛で経済成長が著しく、人口が急増している(2024年5月13日付地域・分析レポート参照)。この状況を把握するため、同ミッションでは、ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と米国半導体最大手のインテルから同州での事業概要や、3月15日にオープンしたサウスウエスト・ミッション・アクセラレーション・センター(注)からその概要やケーススタディーの説明を受けた。アリゾナ日本企業懇話会(JBAA)からは現地の生活環境について説明が行われた。5つの教育機関によるパネルディスカッションでは、半導体分野に特化した人材育成プログラム「フューチャー48」に関する発表が新たに行われるなど、同州が半導体や航空宇宙分野の技術者育成・輩出という面でも優れていることが強調された。

また、アリゾナ州の半導体エコシステムの理解を深めるため、同州に本社機能を有する半導体メーカーのマイクロチップ・テクノロジー、オランダの半導体メーカーのNXPセミコンダクターズ、ウエハー製造大手、日本のSUMCO(本社:東京都港区)の工場をそれぞれ訪問し、製造現場を見学した。さらに、全米最大規模の学生数を誇るアリゾナ州立大学のインキュベーション拠点のスカイソングも訪問し、官民共同の半導体研究開発プログラムなどの説明を受けた。

半導体関連の展示会「セミコン・ウェスト(SEMICON WEST)」が2025年10月にアリゾナ州フェニックスで開催される予定で、11月15日には同展示会のプレイベントとして、在ロサンゼルス日本総領事館主催、ジェトロ共催でセミナーが開催され、業界団体のSEMI・アメリカスやアリゾナ日本商工会議所(JCCIAZ)からのプレゼンなどが行われた。

GPECのショーン・フォガティ国際ビジネス開発担当バイスプレジデントは「アリゾナにはもっと多くのサプライヤーが必要だ。技術力・信頼性が高い日本企業への期待は高い」と述べる。また、日本企業参加者からは、「工場見学時に製造物がどのような構造になっているかを具体的に説明してもらったことで、自社製品がどのようなかたちで入り込めるかのイメージがつかめた」「まずは勉強と思って参加したが、ミッション中に現地の方と話すうちに、アリゾナで事業を始めたいという考えに変わった」といった声が聞かれた。

写真 SUMCO訪問時の集合写真(SUMCO提供)

SUMCO訪問時の集合写真(SUMCO提供)

写真 マイクロチップ・テクノロジーを訪問(ジェトロ撮影)

マイクロチップ・テクノロジーを訪問(ジェトロ撮影)

写真 サイトツアーで訪問したTSMCの工場建設現場(ジェトロ撮影)

サイトツアーで訪問したTSMCの工場建設現場(ジェトロ撮影)

写真 ACAのサンドラ・ワトソン最高経営責任者(CEO、中央)と在ロサンゼルス日本総領事館の曽根健孝総領事(左)、ジェトロの河田美緒理事(ジェトロ撮影)

ACAのサンドラ・ワトソン最高経営責任者(CEO、中央)と在ロサンゼルス日本総領事館の曽根健孝総領事(左)、ジェトロの河田美緒理事(ジェトロ撮影)

(注)米国防総省の5カ所のアクセラレーションセンターの1つで、国防総省の調達の玄関口として、同省と国家安全保障上の課題解決に資する製品を有するスタートアップ企業、学術機関、ベンチャーキャピタルなどをつなぐ役割を持つ。

(柴原友範、堀永卓弘、サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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