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米グーグル、検索市場巡る反トラスト法違反の訴訟で敗訴、1998年のマイクロソフト以来の大型訴訟(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月9日 14時45分

米国の首都ワシントンのコロンビア特別区連邦地方裁判所は8月5日、グーグルがインターネット検索・広告市場での独占を維持・拡大するために、競合他社を競争から排除し、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に違反したとする判決を出した

司法省は2020年、グーグルが米国のインターネット検索市場で90%のシェアを占めているとともに、同社がインターネット検索・広告市場での独占を維持するために「反競争的かつ排他的な慣行」を実施していると主張し、同社を提訴していた(2020年10月27日記事参照)。

判決が焦点を当てたのは、グーグルがアップルやマイクロソフトなどに毎年数十億ドルを支払う見返りとして、自社の検索エンジンをスマートフォンやウェブブラウザで初期設定するよう求める契約を締結したことだ。こうした契約により、(1)多くのユーザーの検索履歴から膨大な量のデータを安定的に入手している、(2)検索結果に表示される広告から多額な収入を得ていること(2014年の約470億ドルから2021年には3倍以上の1,460億ドルに増加)などを踏まえ、グーグルがインターネット検索サービス・広告市場の競争を阻害し、独占を維持するために、他社との契約を違法に利用していると判断した。

今回の判決に関して、メリック・ガーランド司法長官は声明で「グーグルに対する今回の勝利は、米国民にとって歴史的な勝利だ」と述べた。司法省反トラスト局のジョナサン・カンター司法次官補は「この判決は、次世代のためのイノベーションへの道を切り開き、全ての米国民が情報にアクセスすることを保護するものだ」と判決を称賛した。

一方、グーグルは声明で、今回の判決を不服として控訴する予定と表明した。また、判決は、グーグルが最良の検索エンジンを提供していると認めたと指摘した。これは、消費者が競合他社よりもグーグルを好む理由として、同社が法廷で主張した議論だった。

裁判所は、グーグルが検索広告を独占しているとは認めなかったが、判決の大枠は、大手テック企業を対象とした米国政府主導の一連の反トラスト法訴訟における最初の重要な判決となった(CNN8月6日)。特に今回の訴訟は、1998年の米国政府とマイクロソフトとの対決以来、大手テック企業を相手にした最大の反トラスト法訴訟となる。

トランプ前政権以降、司法省と連邦取引委員会(FTC)はグーグルだけでなく、アマゾンやアップルなど大手テック企業を対象に、反トラスト法行為で調査を進めてきた。今回の判決は、他社と係争中の反トラスト法違反の訴訟でも、司法省とFTCにとって追い風になる可能性がある。

(樫葉さくら)

(米国)

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