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欧州委員会次期委員長の任命に向け政党グループ間の交渉が本格化(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 11時0分

欧州議会は、同議会選挙の最終日となる6月9日夜に暫定結果(2024年6月11日記事参照)を発表。中道右派の欧州人民党(EPP)グループのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、EPPが186議席を獲得し、最大会派の地位を確保したことから、勝利を宣言した。今後、欧州委の次期委員長の任命(注)に向け、最大会派を維持したEPPの筆頭候補であるフォン・デア・ライエン現委員長(2024年3月15日記事参照)を中心に他の政党グループとの交渉が進められることになる。

同委員長は、中道会派による安定した多数派が必要として、まずは現行体制において連立を組む中道左派の社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ(135議席)と中道の欧州刷新(Renew)グループ(79議席)と交渉する方針を明らかにした。3会派は合計で過半数を上回る400議席を獲得しており、S&DとRenewの支持を得られれば、2期目に向け大きく前進する。ただし、これら会派の支持を得た場合でも、前回の選挙後(2019年7月17日記事参照)と同様に所属議員の一部が反対すれば、同委員長の再選は危ぶまれる。

そこで、新たな交渉相手として名前が挙がっているのが、グリーン・ディールに懐疑的な極右・右派の欧州保守改革(ECR)グループ(73議席)と、推進派の欧州緑の党・欧州自由同盟(Greens/EFA)グループ(53議席)だ。同委員長は選挙後、自身のX(旧Twitter)で、「右派・左派の急進勢力に対する砦(とりで)」を築くと述べる一方で、幅広い連立に意欲をみせており、「親EU、親ウクライナ、法の支配の順守」を条件にECRとの協力を否定していない。ただし、S&Dは極右との協力を拒否する方針を明確にしている。

他方でGreensは、中道会派による連立に加わることに積極的だ。同委員長はGreensとの連立に関して立場を明らかにしていないが、現地報道では、EPPにはグリーン・ディールの一部政策に批判的な議員も多く、Greensとの政策のすり合わせは容易ではないとの指摘も出ている。

連立の組み合わせは、今後のEU政策に大きな影響を与えることから、政党グループ間の交渉の行方に注目が集まっている。

(注)欧州委の委員長は、欧州理事会(首脳会議)が推薦する候補を、欧州議会が絶対多数決で承認した上で、最終的に欧州理事会により任命される。早ければ、6月27~28日の欧州理事会で候補が推薦され、7月16~19日の欧州議会で承認される。

(吉沼啓介)

(EU)

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