FRB地区連銀経済報告、経済活動は一部を除き「緩やかに回復」と評価(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年1月19日 1時10分

米国連邦準備制度理事会(FRB)は1月13日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。ベージュブックは、FRBが管轄する12の地区連銀の経済状況をまとめた報告書で、連邦公開市場委員会(FOMC)の討議の基本資料として用いられる。今回の報告は、1月4日までの各地区での情報を基にまとめられた。

全体として経済活動は一部を除き「緩やかに回復」

12地区の全体総括については、以下のとおりで、経済活動は一部を除き「緩やかに回復」しているももの、最近の新型コロナウイルス感染拡大により楽観的な見通しが調整されつつあるとした。

ほとんどの地区において経済活動は緩やかに回復しているが、フィラデルフィア地区やクリーブランド地区など一部の地区では新型コロナウイルス感染拡大や規制強化により、小売業や娯楽・接客業において需要の減少による消費の減退がみられる。一方で、製造活動、住宅販売は引き続き堅調なほか、エネルギー部門でも新型コロナウイルスのパンデミック以降で初めて活動拡大が確認できる。
雇用については、回復ペースが鈍く、雇用減を報告する地域が増えている。製造、建設、運輸部門では労働需要が強いが、小売業や娯楽・接客業では雇用削減がみられる。賃金は適度に上昇している。物価も緩やかに上昇しており、特に建設や運輸部門での価格がさらに上昇している。
新型コロナウイルスワクチン期待で高まっていた2021年の楽観的な見通しは、新型コロナウイルス感染再拡大とそれに伴う短期的なビジネスへの影響懸念により、調整されつつある。

ニューヨーク地区の経済活動は「わずかに減速」

ニューヨーク地区とフィラデルフィア地区については、経済活動を「わずかな減速」とし、前回の判断から引き下げた。特に、ニューヨーク地区については、「ほとんど全てのサービス産業で雇用が減少しており、新型コロナウイルス感染者数増加、それに伴う規制強化、また寒波によって経済活動がさらに制限されている」と指摘。また、サービス業以外では、「製造業の活動は12月も適度に拡大継続、最近軟調だった運輸業は緩やかな回復に転換した一方、卸売業の活動は弱含んだ」「不動産は、賃貸住宅と商業用不動産は低迷しているが、住宅販売はニューヨーク州北部を中心に堅調で、住宅在庫はニューヨーク市内を除いて少ない。新規建設活動は、住宅部門と商業部門の両方で低迷している」と指摘している。

FRB議長、金融政策の出口議論については「今はその時期ではない」

地区連銀報告を受け、金融政策の今後の動向に関して、ジェローム・パウエル議長の発言に注目が集まっていたが、地区連銀報告の翌日の1月14日、パウエルFBB議長はバーチャル討論会に参加し、「資産購入についての意思伝達には、細心の注意を払う必要があることをわれわれは承知している」と発言。「今は出口について話す時ではない。世界的な金融危機の1つの教訓は、早まって出口を模索しないよう注意することだ」と述べ、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を合わせて月間1,200億ドル購入している現在のプログラムについて「現在の資産購入の段階的縮小開始に関しては、積極的に検討するかなり前から明瞭に意思伝達する」と述べた。また、利上げの時期については「全く近くない」と付け加えた(「ブルームバーグ」1月14日)。

(宮野慶太)

(米国)

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