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米ウイグル強制労働防止法、アルミ・塩ビ・水産品を優先執行対象分野に追加(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月11日 15時40分

米国国土安全保障省(DHS)は7月9日、米国のウイグル強制労働防止法(UFLPA、注1)の優先執行対象分野に、アルミニウム、ポリ塩化ビニル、水産品の3分野を追加したと発表した。2022年6月のUFLPA施行以降、優先分野が追加されるのは今回が初めて。

CBPが公表するUFLPA執行データ(2024年7月1日時点)によると、2022年6月~2024年6月に、34億5,554万ドル相当の9,128件の貨物が差し止められた(注3)。

DHSは2022年6月に公表した「UFLPA執行戦略」の中で、特に強制労働のリスクが高いなどとして、CBPが優先的に水際措置を執行すべき分野に、(1)アパレル、(2)綿、(3)ポリシリコンを含むシリカ製品、(4)トマトの4分野を示していた。今回、DHSが同執行戦略を更新し(注4)、アルミ、塩ビ、水産品の3分野を追加したことで、優先分野は7分野となった。

DHSのロバート・シルバース次官は、「われわれは、強制労働によって製造された物品を米国市場から排除するために、UFLPAの執行拡大を約束する」「UFLPAの執行拡大は、より多くの企業をUFLPA事業者リストに指定し、CBPが港湾で取り締まりを行い、新たな産業分野に焦点を当て、産業界や市民社会と継続的に関わることで実現する」と述べた。

なお、UFLPAの産業分野別の執行実績では、ポリシリコンを用いた太陽光発電製品を含むエレクトロニクス(4,573件、29億6,778万ドル)が執行件数全体の50%、執行金額全体の86%で最多を占める。アパレル・履物・繊維(1,661件)、工業・製造材料(1,228件)、農産物・調製品(519件)、卑金属(421件)、消費財(385件)、医薬・化学品(333件)、機械(190件)、自動車・航空宇宙(79件)が続き、優先分野を中心に、そのほかの産業分野でも取り締まりが行われている様子もうかがえる。

(注1)2022年6月に施行された米国法。(1)物品の採掘・生産・製造が中国の新疆ウイグル自治区で行われた場合、または(2)UFLPA事業者リストで指定される68企業・団体(注2)が物品の生産などに関与した場合に、強制労働の利用があるとみなして当該物品の米国への輸入を禁止する。具体的には、DHSの所管する米国税関・国境警備局(CBP)が強制労働の利用が疑われる貨物の輸入差し止めなどの水際措置を執行して取り締まる。UFLPAの概要や動向については、ジェトロの特集ページも参照

(注2)UFLPA事業者リスト(エンティティーリスト)も優先分野同様に、対象事業者は追加・更新されている。直近では2024年6月に、中国企業3社が追加された(2024年6月12日記事参照)。なお、事業者数は併せて指定されている子会社や関連組織を除く。

(注3)差し止め後に、貨物の46%は輸入許可、39%は輸入否認、15%は保留となっている。輸入者は、CBPが差し止めを通知した日から30日以内に異議を申し立てることができる。保留は、輸入者が異議の申し立て、またはCBPが異議の審査を行っている段階で、その後に許可または否認に最終決定される。

(注4)執行戦略は今回更新された版を含めてこれまでに、2022年6月初版、2023年8月更新版、2024年7月更新版が公開されている。各執行戦略はDHSのウェブサイトを参照。2023年8月更新版では、優先分野に明示的に追加しなかったものの、自動車部品、鉛・リチウムイオンバッテリー、鉄鋼・アルミ・銅製品、ビニル製品、レッドデーツなどの8分野について、強制労働のリスクがあるとして監視する必要性を指摘していた(2023年8月3日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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