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習国家主席がAPEC首脳会議に出席、バイデン米大統領、石破首相と会談(中国、日本、米国、ペルー)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月20日 14時0分

中国の習近平国家主席は11月16日、ペルーの首都リマで開催されたAPEC首脳会議に出席し、スピーチを行った。また、これに合わせて、日本の石破茂首相、米国のジョー・バイデン大統領と個別に首脳会談を行った。

習国家主席はスピーチで、(1)多国間主義と開放型経済という方向性を堅持し、地域経済の統合と相互連結を推進し、安定した円滑な産業チェーン・サプライチェーンを維持する、(2)人工知能(AI)、量子情報、バイオヘルスケアなどでの協力を強化し、アジア太平洋地域の生産力の向上を推進する、(3)開発途上国などへの支援を強化し、地域経済の包括的な発展を推進するといった3つの提案を行った。

同日に行われた習国家主席とバイデン大統領との会談(注1)で、習国家主席は過去4年間の中米関係について、起伏が激しかったものの、外交、安全保障、経済貿易、財政、金融、軍関係などの面で対話や協力が展開され、成果を得たと総括した。その上で「デカップリング」は解決策ではなく、互恵的な協力によってこそ両国がともに発展できることや、「スモールヤード・ハイフェンス(限定された分野を厳しく管理すること)」は大国の行いではなく、開放と共有こそが人類に利益をもたらすとし、中米関係の安定と発展は両国の国民と人類の将来の運命に関わると強調した。また、習国家主席は台湾、経済・貿易・科学技術、サイバーセキュリティー、南シナ海、ウクライナ危機、朝鮮半島などの問題について、中国の立場を表明したほか、相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンに基づいて中米関係を取り扱うとの原則に変更はないとした。その上で、中国は米国と引き続き対話を保ち、協力を拡大し、食い違いを管理・コントロールすることを望むとした。

APEC首脳会議に先立つ11月15日には、習国家主席は石破首相と初の首脳会談を行った。習国家主席は会談で、今は中日関係改善・発展の重要な時期にあり、日本が中国とともに「四つの政治文書」(注2)の原則と、「相互に協力パートナーとなり、相互に脅威とならない」という共通認識を厳守し、戦略的互恵関係を全面的に推進し、新しい時代の要求に一致する建設的で安定的な両国関係の構築に努力することを希望するとした。また、日本が戦略的で大局的な視点から両国関係を正しく認識し、歴史、台湾などの重大な原則に関する問題に適切に対処することを希望するとした。さらに、日中双方が協力・ウィンウィンを堅持し、グローバル自由貿易体制と安定した円滑な産業チェーン・サプライチェーンを維持し、真の多国間主義を実践すべきだと表明した。

そのほか、中国外交部の発表によると、両首脳はハイレベルの往来の維持、経済や人文などでのハイレベル対話のメカニズムの活用、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について共有した認識(注3)を早期に行動に移すことに合意した。

(注1)米国側や開催地ペルーでの反応は、2024年11月18日記事2024年11月19日記事参照。

(注2)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。

(注3)中国外交部は9月20日、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について、日本との間で認識を共有したと発表した(2024年9月20日記事参照)。

(張敏)

(中国、日本、米国、ペルー)

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