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中東進出日系企業、地政学的影響受けるも、営業黒字の企業比率は2年連続過去最高(中東)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月18日 14時35分

ジェトロは12月18日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」を発表した。中東10カ国に進出する日系企業236社に対して、現地での活動実態に関するアンケート調査を2024年9月4~24日に実施し、取りまとめたもの(10カ国、201社から有効回答)。2023年10月に始まったイスラエルとハマスの衝突以降では初の調査となる。

2024年の営業利益見込みについては、69.1%の企業が「黒字」と回答し、2年連続で過去最高(注)を記録した。国別では、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、カタールで75%以上の高水準だった。イスラエルでは、前年と同水準の42.9%が黒字だった一方、赤字比率は前年の倍以上の42.9%に高まった。

今後1~2年の事業方針については、「拡大」と回答した企業割合が前年から4.8ポイント上昇し、49.7%だった。国別に「拡大」割合をみると、UAE、サウジアラビア、トルコはいずれも前年から上昇して50%以上となった一方、イスラエルは25.3ポイント減と大きく減少して、27.3%にまで落ち込んだ。拡大理由(複数回答可)では、「現地市場ニーズの拡大」(65.6%)が最多で、「輸出の増加」(38.7%)が続いた。

中東に拠点を構える理由(複数回答可)としては、「市場の将来性」(71.4%)が最多で、「市場規模」(51.0%)が続いた。中東地域の投資環境については、魅力として「市場規模、成長性」(58.4%)や「対日感情が良い」(36.3%)、課題として「人件費の高騰」(43.9%)や「不動産賃料の高騰」(39.2%)が多く挙がった。「不安定な政治・社会情勢」を課題に挙げた割合は、イランで前年比33.3ポイント増の100%、イスラエルで21.7ポイント増の84.2%と高水準だった。イスラエルとハマスの衝突による地域情勢緊迫化が影響したと考えられるが、UAEやサウジアラビアでは1割台にとどまっており、中東域内でも大きな違いが見られた。

政治・外交的な動きが活動に与える影響については、「大いに影響がある」「やや影響がある」の回答合計が85.2%だった。イスラエルとハマスの衝突や紅海でのイエメンのフーシ派による攻撃(特集「地政学的影響を踏まえた中東・アフリカの物流動向」)を挙げた企業が多く、具体的影響として輸送コストの増加、コンテナ需給の逼迫、輸送日数の延長・遅延などが指摘された。

(注)比較可能な2015年以降。

(内田政義)

(中東)

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