韓国、COP29で炭素中立に向けてCFEイニシアチブへの支援を要請（韓国、アゼルバイジャン）

アゼルバイジャンの首都バクーで、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議（COP29）が11月11日から24日にかけて開催された（2024年11月12日記事参照）。韓国からは、金完燮（キム・ワンソプ）環境部長官と鄭基溶（チョン・ギヨン）外交部気候変動大使が首席代表として交代で参加し、趙弘植（チョ・ホンシク）外交部気候環境大使が12日と13日に開かれた首脳級会議「世界気候行動サミット」に大統領特使として出席した。

趙大使はサミットの中で特別演説を行い、韓国が政府開発援助（ODA）の増加や緑の気候基金（GCF、注1）への追加供与などを通じて気候財源の造成に貢献してきたことに言及し、今後も気候変動における途上国支援に注力していく意思を表明した。趙大使は併せて、韓国は自国が主導的に推進しているカーボンフリーエネルギー（CFE、2023年10月26日記事参照）イニシアチブを通じて、再生可能エネルギーや水素、原子力といったCFEの活用と国際基準の構築を進めていくことを説明し、同イニシアチブに対する国際的な関心と支援を呼びかけた。

今回開催されたCOP29で、韓国は独自のパビリオンを設置し、環境の持続可能性とエネルギー転換に焦点を当てた先端技術を展示したほか、自治体や企業による気候危機への取り組みを紹介するサイドイベントも開催した。「2035炭素中立政策」に取り組んでいる済州特別自治道（注2）は11月16日、サイドイベントの中で、「地方政府の気候危機緩和のためのカーボンニュートラル実践方策の模索」をテーマにセッションを行った。

また、韓国政府は、COP29で発表された14のイニシアチブのうち、次の5つへの参加を表明した。

COP29世界エネルギー貯蔵・送電網誓約（2024年11月21日記事参照）
COP29水素宣言（2024年11月21日記事参照）
有機性廃棄物からのメタン削減宣言（2024年11月21日記事参照）
気候行動のための水宣言
バクー世界気候透明性プラットフォーム（BTP）

韓国が上記のイニシアチブに参加するにあたり、ハンギョレ新聞は社説（11月25日）で、「政府はエネルギー貯蔵装置を大規模に拡大する政策を策定しなければならない」「太陽光発電などへのエネルギー貯蔵装置設置の義務化や、補助金の支給が求められるだろう」と指摘した。

韓国政府は11月26日、COP29の結果共有と今後の温室効果ガス削減戦略の議論を目的に「COP29対国民討論会フォーラム」をソウル市内で開催するなど、気候変動に対するさらなる取り組み強化に向けて動き出している。

（注1）緑の気候基金（Green Climate Fund）は、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への対処を支援するための基金を指す。

（注2）朝鮮半島の南西部に位置する済州島と、牛島、馬羅島などの小島嶼（とうしょ）からなる自治体。人口はおよそ70万人。

（橋本泰成）

（韓国、アゼルバイジャン）