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米運輸省、自動車の通信技術に関する「V2X展開加速計画」を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月27日 0時50分

米国運輸省(DOT)は8月16日、自動車車両同士や、信号などのインフラ、歩行者や自転車など他の道路利用者との通信による、道路上の安全性や効率性を高めるための青写真として「V2X展開加速計画」を発表した。V2Xとは、「Vehicle-to-Everything」の略で、車両とあらゆるモノを通信技術で接続して連携させること。V2Xの利用拡大や性能を向上させることで、車両間の衝突や対人事故が予防できるだけでなく、ドライバーの視野拡大による安全性の向上や、交通状況の相互通知による渋滞緩和など複数のメリットが期待される。

DOTは今回の計画を、今後12年間でV2X技術を広く普及させるための自動車メーカーや政府当局など関係者に向けた「行動喚起」と位置づけた。短期(2024~2028年)、中期(2029~2031年)、長期(2032~2036年)の目標を設定したうえで、自動車メーカーやサプライヤーのほか、インフラを管理する州や地方自治体などに向けてそれぞれのグループに期待される行動も明示した。

車両が無線通信を行う際には無線周波数を使用するが、その使用は連邦通信委員会(FCC)によって規制されている。FCCは1999年、5.850~5.925ギガヘルツ(GHz)周波数帯の75メガヘルツ(MHz)を高度道路交通システム(ITS)用に割り当てた。しかし、無線LANをベースとする専用狭域通信(DSRC)での運用が前提となっていたため、利用頻度が低く、2021年には、そのうち45MHzをより利用頻度の高いライセンス不要の無線LAN用などに振り分け、残りの30MHzをITS用に割り当て直すこととした。その際、ITSでの運用をDSRCから携帯端末用のC-V2X(注)に移行させ、DSRC基準を廃止することが公共の利益にかなうと結論付けている。しかし、2024年8月時点で30MHz帯の運用に関する詳細が明らかとなっておらず、C-V2Xでの運用を進めたい自動車メーカーやインフラ関係者からは、DSRCを前提とする現行規制の適用免除を求める動きが続いている。規制制定が後手に回る中、今回の計画では、FCCに対してDOTと協力して規則の制定を進めるよう求めている。

今回の発表に関し、ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタ自動車などが加盟する、自動車イノベーション協会のジョン・ボゼーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は、V2Xの導入は「規制の不確実性によって妨げられてきた」「(しかし)これはリセットボタンだ。この展開計画は大きな意味を持つ。V2Xパズルの重要なピースだ」と楽観的な発言を行った(「ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)」電子版8月16日)。

(注)Cellular-Vehicle-to-Everythingの略。携帯電話(セルラー方式)用の無線通信回線を使って行われる車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)、歩車間通信(V2P)、車両ネットワーク間通信(V2N)など、車両とさまざまなものの通信を意味する。

(大原典子)

(米国)

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