1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

連邦政府、増税を柱とした税制改正案を下院に提出(ロシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月19日 0時20分

添付資料PDFファイル(112 KB)

ロシア連邦政府は6月3日、2025年以降の税制改正法案を連邦下院に提出した(添付資料表参照)。本改正は、2月29日にウラジーミル・プーチン大統領が行った年次教書演説(2024年3月12日記事参照)の中で、政府と議会に対し検討が指示されていた。法案は今後、連邦下院、上院での審議を経て、大統領の署名を経て2025年1月に発効する見込み。

主な改正内容は表のとおり。個人所得税は、現行の一律13%・15%から24年ぶりに累進課税が復活する。政府の説明では、本改正で増税となるのは労働人口の約3%。当初案では全労働人口の約30%にあたる2,200万人に影響が及ぶ可能性もあると懸念されていたが(MK3月20日)、対象範囲を大幅に抑えたかたちだ。

特定の条件を満たす中小企業向けにはこれまで付加価値税(VAT、一部を除き20%)は適用されず、VATよりも税率が低い簡易税制(注1)が適用されていたが、今回の改正により年間売上高が6,000万ルーブル(約1億560万円、1ルーブル=約1.76円)を超える中小企業はVATの納税対象となる。連邦下院中小企業委員会のアレクサンドル・デミン議長によると、対象となるのは「簡易課税制度を利用している企業の3%」だが、全簡易納税額の46%を占めていることから一定の税収増が見込まれる(ベドモスチ6月6日)。また、不動産管理・運営を行う事業者は簡易税制の適用を受けているところが多いことから、今後、不動産賃料が上昇する可能性も指摘される(RB.RU6月3日)。

資源採掘関連では、金属などの資源採掘税の増税と為替レートに連動する輸出税の廃止がセットで提案された。金などの一部の品目に対しては、価格が特定の指標(注2)を超えた場合に現行税率に加え10%の賦課金が想定されている。マクシム・レシェトニコフ経済発展相は、超過利潤税(2023年8月15日記事参照)などに頼らない安定財源の確保のため、と説明している(インターファクス通信6月6日)。

その一方で、企業による投資に対する控除が導入される。ロシア産業家起業家連盟のアレクサンドル・ショーヒン会長は、増税を容認する代わりに投資減税を行うことを求めていた(インターファクス通信5月7日)。格付け会社アクラのドミトリー・クリコフ・ディレクターは、増税は企業活動にマイナスの影響を及ぼすが、控除により企業の投資意欲が拡大し、最終的にはそれを補うことができるとみている(RBK5月31日)。

政府は本改正により、2025年の税収は法案提出時の歳入見通しに比べ2兆6,000億ルーブル増と見込む。うち約1兆6,000億ルーブルは企業利潤税(法人税)の増税(現行の20%から25%に引き上げ)によるもの。

(注1)中小企業の中でも、一定の規模の企業および自営業者(従業員130人以下、年間の売上高2億ルーブル以下、固定資産価格1億5,000万ルーブル以下、その他の要件を満たす企業)が、企業利潤税、付加価値税、社会保険料の代わりとして、統一税の適用を申請する制度。

(注2)法案では、コークス、石炭は極東の港湾からの積み出し価格の平均を上回った場合、金は金の国際取引価格が1トロイオンスあたり1,900ドルを上回った場合などが想定されている。

(欧州課)

(ロシア)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください