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5月の米小売売上高は前月比0.1%増と予想下回る、消費減速の兆し(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月19日 10時50分

添付資料PDFファイル(208 KB)

米国商務省の速報(6月18日付)によると、5月の米国の小売売上高(季節調整値)は前月比0.1%増の7,031億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.3%増)を下回った。なお、3月の売上高は前月比0.7%増から0.5%増に、4月は同横ばい(速報値、2024年5月17日記事参照)から0.2%減に、それぞれ下方修正された。

自動車・同部品、無店舗小売り、衣料などが押し上げ要因に

業種別にみると、自動車・同部品が前月比0.8%増の1,341億ドル(寄与度:プラス0.16ポイント)と全体を最も押し上げた。次いで、無店舗小売りが0.8%増の1,196億ドル(プラス0.14ポイント)、衣料が0.9%増の260億ドル(プラス0.03ポイント)と増加に寄与した。5月はアマゾンやターゲットをはじめ、各社が値引きセールを実施したとされており、これらが押し上げの要因となった可能性がある。

一方、ガソリンスタンドは、ガソリン価格の下落(5月:前月比3.6%減、2024年6月13日記事添付資料参照)も寄与し、2.2%減の536億ドル(マイナス0.17ポイント)と減少した。また、メモリアルデー(5月27日)に伴うレジャー需要の増加が期待されていたが、フードサービスは0.4%減の936億ドルだった。

今回の結果について、オックスフォード・エコノミクスの米国首席エコノミスト、マイケル・ピアース氏は「個人消費が減速しているのは、実質所得の伸びが鈍化していることと、一部の消費者が金利上昇とクレジットカード利用の増加で信用が逼迫しているためだ」と指摘した(「ヤフー・ファイナンス」6月18日)。また、調査会社グローバルデータのマネジングディレクター、ニール・サンダース氏は「(消費行動の)慎重さが増し、何軒かの店舗で比較し、価値への関心が高まり、お買い得品を求める傾向が強まったなど、購買行動の微妙な変化を見過ごしてはならない」と述べた。「小売りの景気が悪いわけではないが、消費者は依然として神経質になりつつある」とし、消費に対する消極的な姿勢は年間を通じて高まる可能性があるとも指摘した(「リテールダイブ」6月18日)。

また、インフレ懸念の影響は消費者マインドに影響を与え続けている。民間調査会社コンファレンスボードが5月28日に発表した5月の消費者信頼感指数は102.0(4月:97.5)と、4カ月ぶりの上昇に転じたものの、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は74.6(4月:68.8)と景気後退リスクの高まりを示唆するベンチマークとなる80の水準を4カ月連続で下回っている状況だ(添付資料図参照)。

同社のチーフエコノミストのダナ・ピーターソン氏は「現在の景況感に対する消費者の評価は前月よりやや後退した。しかし、堅調な労働市場は、消費者の現状に対する総合的な評価を支えている」と、その改善理由を指摘した。他方で、同氏は「5月の回答によると、消費者は、特に食料雑貨品の価格が米国経済に対する見方に最も大きな影響を与えている」と述べた。今後1年間の期待インフレ率は前月の5.3%から5.4%に、金利の上昇を予想する者は前月の55.2%から56.2%にそれぞれ上昇した。

(樫葉さくら)

(米国)

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