2025年国家予算が成立、歳出に占める国防費が57%へ上昇(ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月5日 1時10分
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は11月28日、2025年の国家予算案に署名した。歳入は約2兆3,271億フリブニャ(約8兆3,776億円、1フリブニャ=約3.6円)、歳出は約3兆9,290億フリブニャ。防衛・安全保障関連費が2兆2,248億フリブニャと、歳出の56.6%を占め、GDP比で26.3%になる見込み。予算案には、大統領が予算案と同日に署名した軍事税の増税(個人所得に対する軍事税を1.5%から5.0%に引き上げなど)が反映されている。
セルヒー・マルチェンコ財務相は最高会議(国会)での演説で、「国家の防衛」「国民への支援」「経済の回復」を2025年の国家予算の優先事項として挙げるとともに、「戦争という困難な状況下での長期的な持続可能性の確保と、経済安定の強化に重点を置き、今日の真のニーズを考慮して予算を編成することが重要だ」と述べた。
防衛・安全保障関連費以外の歳出の内訳を見ると、年金などの社会保障に4,209億フリブニャ、医療に2,170億フリブニャ、教育に1,989億フリブニャ、科学に145億フリブニャ、退役軍人支援に105億フリブニャ、文化・メディアに103億フリブニャ、スポーツに57億フリブニャ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に40億フリブニャなどが含まれる。
一般財源の歳入の内訳を見ると、輸入取引に対する付加価値税5,938億フリブニャ(前年修正予算比で87.4%増加)のほか、個人所得税および軍事税3,218億フリブニャ(77.5%増加)、国内で生産された商品・労働・サービスに対する付加価値税3,180億フリブニャ(28.6%増加)、法人所得税2,473億フリブニャ(7.0%増加)、輸入取引に対する物品税1,472億フリブニャ(43.2%増加)、国内で生産された商品に対する物品税1,394億フリブニャ(39.5%増加)を見込む。
同予算案では、2025年の財政赤字を最大で1兆6,406億フリブニャ(GDP比で19.4%)とした。これにより、2025年12月31日時点の政府債務(政府保証債務を含む)は最大で8兆6,172億フリブニャ(GDP比101.8%)まで達すると推定されている。
2025年の予算案を、2024年9月18日に最高会議で改正が承認された2024年国家予算修正(歳入1兆9,115億フリブニャ、歳出3兆7,366億フリブニャ)と比較すると、歳入が4,157億フリブニャ、歳出も1,924億フリブニャ増加している。
(柴田哲男、坂口良平、下畑真優)
(ウクライナ)
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