山東省、新エネルギーと再生可能エネルギー発電の設備容量が初めて石炭火力を上回る(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月13日 10時20分
中国・山東省エネルギー局が11月5日に発表した統計データによると、同省における新エネルギーおよび再生可能エネルギー発電の設備容量は1億642万6,000キロワット(KW)に達し、総発電設備の46.9%を占めた。これにより、初めて石炭火力発電の設備容量(1億636万1,000キロワット、総発電設備に占める割合は46.88%)を上回り、山東省エネルギー局は、同省のエネルギーの構造調整が進展したとしている。
山東省は中国1位の石炭火力発電の省でもあり、同省の石炭火力発電の設備容量は全国の9.5%を占めている(2024年10月18日付地域・分析レポート参照)。エネルギー局の岳建如副局長は、新エネルギー発電の設備容量が石炭火力を上回ったことで、化石燃料由来のエネルギーから非化石燃料由来のエネルギーへと主要エネルギー源の転換が促進され、同省の「石炭だけが強い」というエネルギー構造に象徴的な転換がもたらされたと評価した。
山東省は、風力、太陽光、地熱、バイオマスなどのエネルギー資源に恵まれている点を生かし、遼東半島の原子力発電、洋上風力発電、風力・太陽光・貯蔵・送電一体化などの大規模なクリーンエネルギープロジェクトを計画、建設している。そのうち、原子力発電プロジェクトの建設・稼働中の設備容量は1,421万キロワットであり、洋上風力発電プロジェクトも28カ所で1,850万キロワット分の建設が加速している。また、同省は各事業主体が新エネルギープロジェクトの開発や建設に公平に参加することを積極的に支持しており、民間企業や外資系企業も同省における新エネルギーの発展において重要な役割を担っていると指摘している(「中国能源新聞網」11月5日)。
一方で、風力発電や太陽光発電の出力が不安定であるという問題について、山東省はエネルギー貯蔵プロジェクトの建設を加速し、中国で他に先駆けて揚水エネルギー貯蔵、新型エネルギー貯蔵(注)行動プランやエネルギーの長時間貯蔵のトライアル応用に関する政策などを打ち出している。現在、同省では110カ所の新型蓄電プロジェクトが稼働しており、その規模は571万3,000キロワットで全国1位となっている。
山東省エネルギー局によると、「第14次5カ年(2021~2025年)規画」期間中、山東省の電力消費量の年平均伸び率は4.4%に達し、新規電力需要はすべて新エネルギーと再生可能エネルギーによって供給されている。現在、同省の太陽光発電、バイオマス発電、風力発電の設備容量は全国でそれぞれ1位、2位、5位となっている。
(注)新型エネルギー貯蔵は、揚水によるエネルギー貯蔵以外の、電力出力を主要な形態とするエネルギー貯蔵技術を指す。新型リチウムイオン電池、鉛炭素電池、圧縮空気、水素エネルギー貯蔵などが含まれる。
(董玥涵)
(中国)
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