大統領の最低賃金引き上げ発表に労使双方から反発の声(ペルー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月6日 11時55分
ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は2024年12月27日、首都リマの大統領府で会見を行い、2025年1月1日から法定最低賃金を月額1,130ソル(約4万7,460円、1ソル=約42円)とする方針を発表した。最低賃金の見直しは2022年5月以来で、従来の1,025ソルから10.2%(105ソル)の引き上げとなる。
ボルアルテ大統領は2024年7月の所信表明で最低賃金の見直しを行う方針を発表し、検討が進められていた(2024年7月31日記事参照)。
今回の決定に、労使双方から反発の声が出た。ペルー経団連(CONFIEP)のアルフォンソ・ブスタマンテ会長は「最低賃金で働いている者は労働者全体の2%に過ぎない。また、中小零細企業の75%は非合法な経営を行っている。これらの企業が人件費や投資に適正に資源を配分し合法的な経営ができるようにしなければならない。企業のコスト増につながる最低賃金見直しの判断は適切ではない」とコメントした。
ペルー労働者総連合(CGTP)のグスタボ・ミナヤ副書記は「CGTPを含む労働者団体側は、最低賃金として1,330ソルを求めてきた。1,130ソルでは近年の物価上昇で生活費が逼迫している労働者のニーズを満たすことはできない。政府は最低賃金の見直しを発表することで政府のイメージ向上を狙っただけだ」と非難した。
ボルアルテ大統領は会見の中で、「最低賃金の見直しにあたり、政府は無責任な上乗せを決めることはできない。中小零細企業が合法なかたちで経営できるように配慮しなければならない」と理解を求めた。
ペルー輸出業組合(ADEX)のフリオ・ペレス会長はジェトロのインタビュー(2024年11月27日)に対し、「業界団体の代表らが大統領府で大統領と意見交換を行い、経営者の立場から現時点で最低賃金を見直すことは国内の中小零細企業の負担が大きく、経済の復調が確実になるまで実施するべきではないと反対の意見を申し入れた。ボルアルテ大統領からは『今回の引き上げは政治的判断なので理解してほしい』とコメントがあった」と述べ、経営者らが集まり大統領との調整を試みたものの、意見の隔たりを埋めることができなかった実情を明かした。
(石田達也)
(ペルー)
この記事に関連するニュース
-
【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主339人を対象「2024年下期経営状況に関するアンケート」を実施
PR TIMES / 2025年1月15日 11時0分
-
なぜ、最低賃金ニュースは“経営者の悲鳴”ばかり? 労働者の声が消えるオトナの事情
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月8日 6時10分
-
コロンビアの2025年の最低賃金は前年比9.5%増に(コロンビア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月27日 10時30分
-
業界団体が議会との非合法鉱業対策協議から離脱(ペルー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 1時20分
-
焦点:異論根強い「高い最低賃金目標」、政権浮揚の突破口にも
ロイター / 2024年12月20日 18時7分
ランキング
-
1韓国大統領、取り調べで沈黙守る 録画も拒否=捜査当局
ロイター / 2025年1月15日 18時0分
-
2尹氏支持者「恥かかせる目的」と憤り=公邸前、拘束賛成派は歓喜―韓国
時事通信 / 2025年1月15日 15時21分
-
3氷点下のソウルで大統領拘束、「尹錫悦を守る」叫んだ支援者「ああ」とため息…「終わった」歓声も
読売新聞 / 2025年1月15日 13時27分
-
4韓国の尹大統領、内乱容疑で拘束 戒厳令巡り現職初、警護庁対峙も
共同通信 / 2025年1月15日 11時13分
-
5アサド政権崩壊で、もうシリア難民に保護は不要?...強制送還を求める声に各国政府の反応は?
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月15日 14時17分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください