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7月の米消費者物価指数、インフレ率は引き続き低下、約3年ぶりに3%を下回る(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月15日 13時10分

添付資料PDFファイル(316 KB)

米国労働省が8月14日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%上昇(前月3.0%上昇)、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同3.2%上昇(前月3.3%上昇)と、いずれも引き続き鈍化した(添付資料図1参照)。7月は、アマゾンなど電子商取引(EC)を中心に行われたセールや、エネルギーと関連が深い財・サービス分野の価格低下が寄与し、CPIの上昇率は2021年4月以降初めて3%を割り込んだ(添付資料表参照)。前月比では、CPIは0.2%上昇(前月0.1%低下)、コア指数も0.2%上昇(前月0.1%上昇)だった。市場予測では、前年同月比ではCPIが3.0%上昇、コア指数が3.2%上昇、前月比ではCPI、コア指数ともに0.2%上昇で、おおむね市場が予想した動きとなった。

品目別に前年同月比でみると、ガソリン価格の低下に伴ってエネルギーが1.1%上昇(前月1.0%上昇)と、上昇率はわずかに低下。エネルギーと食料品を除いたコア指数のうち、衣料品が0.2%上昇(前月0.8%上昇)、中古車が10.9%低下(前月10.1%低下)し、財部門は1.9%低下(前月1.8%低下)だった。7月はアマゾンなどEC勢を中心に小売店がセールを実施し、こうした動きが価格低下圧力となったもようだ。

サービスも4.9%上昇(前月5.1%上昇)と、伸びが鈍化した。物価のうち3割のウエートを占める住居費は、帰属家賃(注)が5.3%上昇(前月5.4%上昇)とわずかに伸びが鈍化した結果、5.1%上昇(前月5.2%上昇)となった。また、航空運賃を中心に輸送サービスが8.8%上昇と前月(9.4%上昇)よりも鈍化したことなどを受け、住居費を除くサービス価格も4.6%上昇(前月4.8%上昇)と、伸びが鈍化している(添付資料図2参照)。

財やエネルギーに関連する項目以外の動きはやや緩慢だったものの、全体として物価上昇率はゆっくりとしたペースながら、低下の道筋をたどっており、ブルームバーグエコノミクスのアンナ・ウォン氏らが「CPIの軟調な報告は、インフレが下降傾向にあるという連邦準備制度理事会(FRB)当局者の自信をやや高めるだろう」と述べたように(ブルームバーグ8月14日)、今回の結果はFRBによる9月利下げを補強するものとなったとの声が多い。FRBは7月の連邦公開市場委員会(FOMC)でデュアル・マンデート(物価安定と雇用の最大化)の両面のリスクに対応していく方向にかじを切っており(2024年8月1日記事参照)、雇用情勢の軟化(2024年8月5日記事参照)と併せて考えると、9月利下げに踏み切る可能性は高そうだ。

インフレに関しては、引き続き11月の大統領選の重要テーマの1つとなっている。複数の報道機関は、カマラ・ハリス副大統領が8月16日にノースカロライナ州で行う演説で、中間層の生活コスト引き下げと企業の過剰な値上げに対応するための計画を発表する予定だと報じている。こうした計画は翌週開催される民主党全国大会で採択される政策綱領にも反映される可能性が高く、7月に発表された政策綱領案(2024年7月17日記事参照)より一歩踏み込んだインフレ対策が盛り込まれる見込みだ。

(注)自己が所有する住宅(持ち家住宅)に居住した場合、家賃の支払いは発生しないものの、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般の市場価格で評価したもの。

(加藤翔一)

(米国)

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