米オープンAIとアンスロピック、連邦政府のAI安全対策で協定締結(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月10日 0時40分
米国AI安全研究所(AISI)は8月29日、人工知能(AI)モデルの安全性の研究、試験、評価を目的として、AI業界をリードする米オープンAIとアンスロピックと協定を締結したと発表した。AISIは、AIがもたらし得る脅威への取り組みの一環として、米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)に設立され、AI技術に関連した指針の策定などを行っている。(2023年11月6日記事、2024年7月30日記事参照)。
同協定の覚書によると、AISIは公開前および公開後に、各社の主要な新モデルに対するアクセス権を得る。モデルの能力や安全性に対するリスク評価を査定すると同時に、リスクを軽減する方法に関し、両社との共同研究が可能となる。また、AISIは英国のAI安全研究所と密接に協力し、両社のモデルの安全性向上に関するフィードバックを提供する予定だ。
AISIのエリザベス・ケリー所長は「安全性は画期的な技術革新を促進するために不可欠な要素であり、この協定はその始まりにすぎない。AIの未来を、責任をもって導くための重要なマイルストーンだ」と述べた。
この協定は、8月29日にカリフォルニア州議会で「最先端AIシステムのための安全で安心な技術革新法(SB1047)」が可決された同日に締結された。同法案は、大規模なAIモデルが生命の危険や5億ドル以上の損害をもたらすサイバー攻撃といった破壊的状況を引き起こすことを防止する目的を持つ。しかし、AIモデルを開発した本人以外がモデルを用いて破壊的状況を引き起こした場合であっても、モデル開発者が責任を負うこと、開発したモデルに対するコンプライアンスの負担がイノベーションを遅滞させること、州司法長官による過度な事前介入を招く恐れがあることなどから、多くの業界関係者が反対している(2024年8月30日記事参照)。
そのため、本協定の締結は、オープンAIがSB1047に対して不支持を表明し、国家安全保障や国際競争に関わる最先端AIモデルの規制は、連邦政府が主導するべきだと主張していることも関連しているとされる。
(松井美樹)
(米国)
外部リンク
- 物流の現状について、阪急阪神エクスプレスのダッカ所長に聞く(バングラデシュ)
- ペルーのフジモリ元大統領が死去(ペルー)
- 米中国特別委員長、ジョージア工科大による天津大との提携解消を歓迎する声明発表(中国、米国)
- 米主要港、7月小売業者向け輸入コンテナ量は前月比8.1%増、東海岸の港湾スト懸念で輸入増続く(米国)
- 8月の米消費者物価指数、前年同月比2.5%に低下も、コア指数は足踏み(米国)
- EU司法裁、米アップルに130億ユーロの追徴課税を決定、アイルランドの税制優遇が背景(EU、アイルランド)
- 米商務省、サプライチェーンサミットを初開催、IPEF通じた協力も議論(米国)
- 米大統領候補のハリス氏とトランプ氏の討論会、ハリス氏「勝利」も、なお接戦(米国)
- アイスペース、ルナ・アドバイザリー・ボード設立を発表、地球と月の経済圏構築を目指す(日本、米国)
- メキシコ経済省、ACE55号の自動車部品の原産地規則解釈を再度厳格化(ブラジル、メキシコ)
この記事に関連するニュース
-
AIセーフティに関する評価観点ガイドを公開
Digital PR Platform / 2024年9月18日 14時36分
-
日米のAI関連ガイドラインの相互運用性向上をめざし「クロスウォーク2」を公開
Digital PR Platform / 2024年9月18日 14時34分
-
米商務省、AI開発者にサイバーセキュリティー報告義務を課す規則案を発表(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月10日 11時15分
-
OpenAIとAnthropic、米政府機関に公開前のAIモデルを提供する契約
ITmedia NEWS / 2024年8月30日 9時13分
-
米カリフォルニア州のAI規制法案に多方面から反対表明(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月30日 0時50分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください