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バイデン米政権、75億ドルの水インフラプロジェクト向け融資を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月10日 11時40分

米国環境保護庁(EPA)は9月6日、2014年水インフラ資金調達・技術革新法(The Water Infrastructure Finance and Innovation Act of 2014:WIFIA)に基づく水インフラプロジェクトについて、75億ドルの融資が可能と発表した。同法に基づく融資は今回で8回目。連邦政府が行うWIFIAプログラム(65億ドル)と州水インフラ融資機構が行うSWIFIAプログラム(10億ドル)それぞれについて、今後受け付ける予定だ。

米国では、古い鉛管やPFAS(有機フッ素化合物、注1)などによる水道水の汚染が問題となっており、バイデン政権は発足以降、安全な飲料水の確保に向けた取り組みを強化している。特に、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)は、鉛製の水道管の交換プロジェクトやPFAS対策に係る連邦支援、下水処理施設の建設や廃水処理システムの構築などを行う州向け基金への拠出、WIFIAプログラムへの拠出などに対して500億ドル以上を措置するなど、積極的な支援策を展開している。WIFIAプロジェクトは、こうした連邦・州などによる取り組みのうち、上記の州向け基金などで実施されているプロジェクトの中で、特に革新的なプロジェクトの融資残(注2)を補うものとなっている。

具体的には、対象プロジェクト費用の最大49%について(1)低利・固定金利、(2)プロジェクト完了後、最大5年間の返済繰り延べが可能、(3)返済期間は最大35年間という事業者にとって有利な条件で融資を提供する。例えば、オレンジ郡水道局(カリフォルニア州)の「地下水補給システム拡張プロジェクト」(注3)では、WIFIAプログラムの有利な資金調達オプションを活用することで、利払い費を7,500万ドル節約することができたという。

これまでにWIFIAプログラムを通じて、全国で100件以上、440億ドル規模のプロジェクトに対し、総額200億ドル以上の資金が融資され、今回の発表を契機としてさらなる投資の活発化が期待される。

なお、WIFIAプログラムはバイデン大統領が提唱する「ジャスティス40イニシアチブ」(注4)を推進するもので、気候変動、クリーンエネルギー、重要な浄水・廃水インフラの整備などに対する連邦政府の投資全体の利益の40%を、投資不足で取り残され、汚染によって過度の負担を強いられている恵まれない地域社会に還元する予定だ。

(注1)PFASは、いわゆる有機フッ素化合物の総称で、耐熱性や耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、衣料、食品包装、調理器具、化粧品、電子・電気部品、自動車部品をはじめとする多くの産業や製品に利用されている。一方で、PFASが環境や人体に与えるマイナスの影響を理由に、PFASに関する規制の導入やメーカーが製造の中止を表明するといった動きもある(2022年12月22日記事2023年3月15日記事参照)。

(注2)州基金では、対象プロジェクトの最大20%を支援できる。

(注3)干ばつに強い飲料水供給システムの構築を目的とするプロジェクトで、革新的な水処理技術と自然の浄化作用を組み合わせることで、干ばつ時でも安定した水供給を確保することを狙っている。

(注4)気候変動対策やクリーンエネルギーへの連邦政府の投資から得られる利益全体の少なくとも40%を恵まれない地域に提供するバイデン政権によるプログラム。

(藤田ゆり、加藤翔一)

(米国)

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