洋上風力発電の開発事業者に対する現地調達要求を緩和(台湾、EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月14日 0時15分
台湾の経済部は11月8日、EUが7月26日に台湾の洋上風力発電の域内調達要求を不当としてWTOに提訴した件について、「台湾とEUは共通認識に達したため、EUは紛争解決手続きを暫定的に停止する」と発表した。
台湾は、2050年までのカーボンニュートラル達成を表明し、洋上風力と太陽光を主力に位置づけている。台湾当局は洋上風力の導入について、第1段階のモデル開発(2017~2020年)、第2段階のポテンシャル開発(2020~2025年)、第3段階のブロック開発(2026年~)の3段階に分けて進めている。台湾当局はこれまで、洋上風力の開発について、段階ごとに入札を経て開発権を付与しており、2024年7月には2026年以降に運営開始予定の「第3段階-2」の入札結果が発表された(注)。
「第3段階-2」の入札条件として、水中基礎、風車、海底ケーブル、タービンなど24項目にそれぞれ点数が割り振られ、域内調達が120点満点中70点以上に達する事業計画書(Industrial Relevance Program:IRP)を提出する必要があった。EUは、「台湾の域内調達要求は、台湾以外の商品やサービスを差別することで、効率性の低下と価格の上昇を意味し、最終的には再生可能エネルギーの安定供給への移行をより困難で高コストなものにする」と指摘していた。
経済部はEUとの協議を経て、「第3段階-2」の域内調達要求について、開発事業者に帰責事由がなくIRPの変更が必要になった場合、開発事業者は経済部に修正を申請することができる、とした。また、IRPの修正を申請できる場合の要件として次を例示した。
1. 台湾サプライヤーに十分なキャパシティがない場合
2. 台湾域内に供給能力があるが、品質、数量、納期その他の納入条件(価格を含む)などが、事業者が示す系統接続スケジュールに影響を与える場合
3. 開発事業者の帰責事由によらない事態が発生し、合理的な説明が可能である場合
4. 変更後のIRPの実施に依然として困難がある場合
経済部はまた、「第3段階-2」以降のプロジェクトについては、自由化の方向で計画し、IRPを義務づけない、とした。
(注)選定事業者は、森崴能源(台湾)、Swancor Renewable Energy(SRE)(台湾)、オーステッド(デンマーク)、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)(デンマーク)、コリオ(オーストラリア)、エナベスト(ドイツ)の6社。
(江田真由美)
(台湾、EU)
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