世界最大級の太陽光発電所とバッテリーエネルギー貯蔵施設の建設プロジェクトが正式着工(フィリピン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月27日 11時20分
フィリピンの配電最大手マニラ電力(Meralco)傘下のテラ・ソーラー・フィリピン(Terra Solar Philippines)は11月21日、同じく子会社のMeralco PowerGen Corporationと太陽光発電専業の新興企業SP New Energy Corporationとともに、世界最大級の太陽光発電所とバッテリーエネルギー貯蔵施設を建設するMTerraソーラープロジェクトの起工式を行った。
MTerraソーラープロジェクトの開発は、マニラ首都圏北部のヌエバ・エシハ州とブラカン州にまたがる3,500ヘクタールの敷地に、総工費40億ドルを投じて施設が建設される。同施設は、4,500メガワット時(MWh)のバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を完備するとともに、ピーク時には3,500MWhの太陽光発電容量を持つ。同プロジェクトが完成すると、約240万世帯にクリーンエネルギーを供給するとともに、年間430万トン(推定)の二酸化炭素(CO2)排出を防ぐことが期待されている。これは毎年、公道を走る300万台以上のガソリン車から排出されるCO2の量に匹敵するという。同プロジェクトは2027年に本格稼働する予定だ。
起工式に出席したフェルディナンド・マルコス大統領は、フィリピンで高まる電力需要への対応と持続可能なエネルギーへの移行が喫緊の課題とし、MTerraソーラープロジェクトの地域への貢献とCO2排出削減への期待を示した。また、同プロジェクトは、電力の安定供給とエネルギーコストの低下を促し、ひいては、フィリピンの電力構成における再生可能エネルギーの割合に関する政府目標(注)に大きく貢献するものとした。
フィリピンエネルギー省(DOE)の電力統計によると、2023年のフィリピンの電源別発電量の構成は、石炭が最大で7万3,754ギガワット時(GWh、構成比63%)を占める。続いて再生可能エネルギーが2万6,278GWh(22%)、天然ガスが1万6,668GWh(14%)、石油が1,304GWh(1%)を占めている。再生可能エネルギーの中では、地熱と水力が1万GWを超え、その他の太陽光、バイオマス、風力と続いている(添付資料表参照)。
(注)フィリピン政府は「フィリピンエネルギー計画2020-2024」で、発電量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに35%に、2040年までに50%にする目標を設定している。
(中村和生、フェリシア・インペリオ)
(フィリピン)
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