カナダ中銀、政策金利を3.25%に引き下げ、5会合連続(カナダ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月13日 13時5分
カナダ中央銀行は12月11日、政策金利を0.50ポイント引き下げ、3.25%とすることを発表した(政策金利レート推移参照)。今回の引き下げは5会合連続になる(2024年10月29日記事参照)。
大幅な引き下げに踏み切った要因として、消費者物価指数(CPI)のインフレ率は約2%で推移していることから、金利政策について、引き締め状態を維持する必要がなくなったと説明した。また、経済は供給過剰状態にあり、2024年第3四半期(7~9月)GDP成長率は1%(2024年12月3日記事参照)で、中銀の予測を下回り、第4四半期(10~12月)も予測より低くなる可能性を指摘している。移民受け入れ目標の引き下げ(2024年10月31日記事参照)による移民数減少で、人口増加率が低下し、需給の両方を抑制することから、インフレ見通しも抑制される公算が大きいと分析した。対照的に、消費者支出と住宅需要はともに回復し、低金利が家計支出を押し上げ始めていることを示唆していると分析している。一方、雇用市場は依然として軟調で、雇用の伸びは以前より鈍く、求職者数が求人数よりも速いペースで増加しており、失業率は11月に6.8%に上昇した。6月以降、中銀は政策金利を大幅に引き下げており、おおむね予想どおりに経済作用すると考えている。今後、さらなる引き下げの必要性を都度検討することになると言及した。
連邦政府と各州政府は生活関連商品などに対する付加価値税(GST)の一時的な減税や、個人への一時金支給など、今後数カ月間の家計支出とインフレの動向に影響を及ぼす可能性が高い政策を発表しているが、これらは一時的な影響として捉え、政策決定の指針とする予定だ。今後の方向性について、米国のトランプ次期政権によるカナダに対する新たな関税の可能性(2024年11月27日記事参照)などにより、不確実性が高まり、経済見通しは不透明であるとも言及している。
発表を受けて同日、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼経済マネジングディレクターのダグラス・ポーター氏は、最終的には、経済の緩みと貿易見通しの不透明感を考慮すると、政策金利は2025年にはさらに25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度の小幅利下げが段階的に行われ、同年半ばまでに2.50%まで下がると予想している。また「最大の不確定要素は関税面で何が起きるか、カナダがどのように対応するかだ。カナダに広範な追加関税が課された場合、金利はさらに低下するだろう」とコメントした。
次回の政策金利と経済見通しを示す中銀の金融政策報告書の発表は1月29日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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