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日本酒イベントSake@が北京で開催、関連セミナーで日本酒の中国市場での状況を紹介(中国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月5日 1時5分

第5回Sake@清酒文化節が5月25~26日、中国・北京市内のホテルで開催された。1,060平方メートルの会場に、840SKU(注1)の日本産および中国産の日本酒、果実酒などが出品され、4,000人以上が来場した。

イベント開催に先立ち、主催者の北京深寮文化産業が「2023年中国日本酒市場発展白書」の紹介セミナーを開催した。同白書のメイン執筆者である同社の周卉総経理は、2023年の日本から中国への日本酒の輸出額が前年比18.3%減少したこと(注2)、主催者の独自調査(注3)によると、2023年に大半の輸入業者や代理商が平均して2~4種類の新しい日本酒銘柄を取り扱うようになった半面、日本酒の中国での販売額は前年比で10~20%減少したことを指摘した。その上で、日本酒の中国向け輸出額の減少には(東京電力福島第1原子力発電所の)ALPS処理水問題なども背景にあるが、中国の酒類販売全体が低迷している状況〔例:2023年のワイン消費量が前年比24.7%減少(注4)、価格が堅調だったウイスキーや白酒の値下げなど〕を見ると、日本酒の販売減少は特殊なものではなく、業界全体の状況を反映したものにすぎない、と述べた。

また、調査結果によると、中国において最も日本酒を購入・消費しているのは、25~35歳、月収1万~2万元(約21万~42万円、1元=約21円)の消費者で、最も多く使われる購入チャンネルは淘宝(タオバオ)などの総合EC(電子商取引)プラットフォーム、最も多い消費場面は自宅での「宅飲み」と紹介した。

周卉氏は、中国の消費者の大半がまだ日本酒消費の初期段階(注5)にある一方、一部の消費者はすでに日本酒愛好者となり、各種イベントに参加し、自分の好きなブランドや味が分かるようになっており、積極的に周りの友達に日本酒の良さを教えている、と分析した上で、日本酒愛好者を育み、その層を拡大することが重要で、消費者向けに日本酒の魅力を伝えていくことは、今の中国市場開拓において最も重要なことだ、と指摘した。

Sake@の会場には、多くの来場者が詰めかけ、前年以上のにぎわいを見せていた。同イベントに参加していた小西酒造の小田井基修国際統括部長は「非常に多くの方が来場されていて驚いた。中国の日本酒市場は昨年伸び悩みもあったが、今年はさらに伸びて行くことを期待したい。今後も中国での販路拡大に向け取り組んでいきたい」とコメントした。菊正宗酒造の良津智成海外事業一課課長は「来客が多く、消費者の方から様々な趣向があることを聞くことができた。好みはさまざまで、多様なニーズに応えられるように商品ラインアップを増やしていきたい」と語った。

写真 「2023年中国日本酒市場発展白書」紹介セミナーで講演する周卉氏(ジェトロ撮影)

「2023年中国日本酒市場発展白書」紹介セミナーで講演する周卉氏(ジェトロ撮影)

写真 Sake@イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

Sake@イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

(注1)SKUは、Stock Keeping Unitの略で、受発注や在庫管理を行う際の最小単位。

(注2)国税庁が発表した「最近の日本産酒類の輸出動向について」参照。

(注3)同調査は、サプライヤーとユーザーの両者を対象として実施されたもので、サプライヤーについては、大型インポーター(10社以上)、各ECプラットフォーム、SNSサービス運営者などに訪問調査を実施。ユーザーについては、2023年1月から2024年1月までオンライン調査を実施し、1,000人以上の消費者が回答した。

(注4)国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の「STATE OF THE WORLD VINE AND WINE SECTOR IN 2023」参照。

(注5)この段階では、消費者が日本酒と触れ合うことができる場所はほとんど居酒屋や日本の料理店しかなく、消費者もこのような場所を日本酒が飲める唯一の場と認識しており、日本酒の風味や品質、ブランドについてまだ関心がない状態。

(王瑩)

(中国、日本)

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