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ミレイ政権発足で競争環境に変化、日系企業に聞く(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月26日 0時25分

ジェトロは、アルゼンチンの事業環境について、在アルゼンチン日系企業の輸入販売業1社と製造業2社、サービス業1社へのインタビューを行った(7月31日)。いずれの企業も、ハビエル・ミレイ政権が進める改革・開放政策を前向きに評価したが、その一方で、競争環境に変化が起きていると述べた。

ミレイ政権の発足によって輸入規制が廃止され、2023年12月13日以降に通関した商品の輸入代金の支払い条件が緩和された結果、企業が抱える問題がそれまでの「輸入ができない問題」から、景気停滞により「商品が売れない問題」へと変化した。消費の落ち込みは、国内輸送の状況からも明らかで、2024年上半期はアルゼンチン北部でリチウム、南部で石油・ガスの輸送量が伸びた一方、消費財や自動車部門の輸送量が落ち込んでいる。

ミレイ政権が進める規制緩和が買い控えを誘う一面もあるという。ルイス・カプート経済相は、輸入時に17.5%を課税する「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税(通称:パイス税)」の2024年内廃止を明言したが、それが商品購入を急ぐ必要のない顧客の買い控えにつながっている。現政権が進める輸入の開放により、商品の選択肢が増えることを顧客は知っているので、輸入品が国内市場に少なかったこれまでの状況とは異なり、今後は激しい価格競争になる。8月1日通関分から輸入代金の支払い規制が緩和されたことは、輸入業者にとっては良いことだが、結果として中国製品の輸入が増えるだろう。日本製品は常に割高なので、不景気なこの状況下では苦戦を強いられる。

製造業では、以前は生産に必要な原材料を輸入することができずに苦労したが、今は安価な中国製品との競争が課題になりつつある。輸入時の関税を下げるという現政権の方針は、それ自体が輸入の後押しとはなるものの、消費の落ち込みにより、在庫が積み上がるという問題が生じている。

製造業にとっては、国内で競争力を維持する条件が不足している。製造業に必要なのは補助金や優遇措置ではなく、税金の引き下げだという。アルゼンチンに一定の製造業が残り、コモディティー輸出に特化した国にならないような政策をとることが政府には期待されている。

(山木シルビア、西澤裕介)

(アルゼンチン)

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