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欧州委、クリーン産業ディールの一環として水素戦略推進(EU、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月5日 0時45分

欧州委員会などが11月18~21日に共催した「第3回European Hydrogen Week」(2024年12月3日記事参照)のハイレベル政策会議で、欧州委の新体制の下、クリーン産業ディール(2024年9月2日付地域・分析レポート参照)の一環として、欧州の水素利用を進めていくことを確認した。水素関連事業への投資決定の遅れは生じているものの、水素の製造、利活用なしには気候中立は達成できないとした。

冒頭のセッションで、共催団体のハイドロジェン・ヨーロッパ(Hydrogen Europe)は、投資決定の遅れはあり、現在は高い目標との乖離はあるものの、出展者数は前年を上回る220超となり、商業化に向けた具体案件が増えていることを紹介した。欧州委幹部は、規制緩和や手続きの簡素化を通じ、商用化に向けた投資を呼び込むことや、加盟国間の連携深化、産業界との連携を通じてのみ競争力を強化できると強調した。クリーン水素共同実施機構(Clean Hydrogen Joint Undertaking:CHJU)幹部は「イノベーションこそ成長のカギであり、これまでに372のプロジェクトに16億2,000万ユーロ規模の支援を実施している。商業化のためには、欧州委、加盟国、産業界、研究機関の連携が必要で、どの分野で水素を活用するか長期戦略を立てる必要性がある」と述べた。

写真 Hydrogen Europeのスライド〔ガートナー社のハイプ・サイクル(イノベーションの成熟度と採用度を図示し、それらが実際のビジネス問題の解決や新たな機会の活用にどのように関連するかを示すもの)を用いた現況説明〕(ジェトロ撮影)

Hydrogen Europeのスライド〔ガートナー社のハイプ・サイクル(イノベーションの成熟度と採用度を図示し、それらが実際のビジネス問題の解決や新たな機会の活用にどのように関連するかを示すもの)を用いた現況説明〕(ジェトロ撮影)

日本からは経済産業省の木原晋一・国際カーボンニュートラル政策統括調整官が登壇し、冒頭、日本のグリーントランスフォーメーション(GX)の3原則に触れ、これは気候変動対策、エネルギー政策、産業政策を包括する戦略で、水素戦略は中核にあると説明した。商用化に向けて新たに制定された水素社会促進法を通じ、コストが高い水素の普及のための「価格差に着目した支援」と「拠点整備支援」を紹介した。水素社会の促進に向け、国際協力は欠かせないとし、日EU水素ビジネスフォーラムなどの取り組みの重要性を強調した。

写真 登壇した木原国際カーボンニュートラル政策統括調整官(ジェトロ撮影)

登壇した木原国際カーボンニュートラル政策統括調整官(ジェトロ撮影)

Hydrogen Europeは閉会セッションで、欧州の複雑な規制は市場の成長の妨げになる側面を指摘し、認証、標準化の重要性について触れた。さらに、デジタル製品パスポート(2024年7月16日記事参照)の導入を通じて、製品情報の透明性と信頼性を確保することが水素貿易にとって重要とした。

(薮中愛子)

(EU、日本)

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