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フォン・デア・ライエン委員長、次期欧州委員会の人事案を発表(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 13時0分

添付資料PDFファイル(253 KB)

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は9月17日、2期目に向けた欧州委員の人事案(添付資料表参照)を発表した(プレスリリース)。欧州委は委員長と26人の委員からなり、EUの法案や予算案を提出する権限を有する。各委員はEU全体の利益を代表することが求められるが、実際には出身加盟国の影響が強く働くといわれている。

委員の人選は各加盟国の推薦に基づき、各委員が担当する政策分野は委員長の判断により決定される。人事案は、推薦する加盟国の政権与党の意向を反映し、中道右派・欧州人民党(EPP)グループに所属する候補が過半数を占める。一方で、欧州委新体制の発足には欧州議会(2024年7月10日付地域・分析レポート参照)の承認が必要となることから、担当分野に関しては、フォン・デア・ライエン委員長の再選(2024年7月19日記事参照)を支持した中道左派の社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループや中道の欧州刷新(Renew)グループに一定の配慮をしたものとなった。6ある執行副委員長職のうち、S&DとRenewに所属する候補にそれぞれ2ポストを配分したほか、協力の可能性(2024年7月1日記事参照)が取りざたされている右派(一部極右)の欧州保守改革(ECR)グループに所属する候補にも1ポストを配分した。

脱炭素化総括にS&D、産業政策総括にRenew所属候補を指名

人事案によると、脱炭素化・循環型経済への移行と競争政策を統括する執行副委員長にスペインのテレサ・リベラ氏(S&D)を、産業政策を統括する執行副委員長にフランスのステファン・セジュルネ氏(Renew)を指名した。フォン・デア・ライエン委員長は、2期目に向けた政治指針(2024年9月2日付地域・分析レポート参照)において、欧州グリーン・ディール関連目標を維持しつつも、「クリーン産業ディール」など産業競争力の強化を最優先課題に掲げている。グリーン・ディールに積極的なS&Dに所属するリベラ氏は、セジュルネ氏と共同でクリーン産業ディールを担当することになっており、産業政策と環境政策のバランスをいかに調整するか、今後の政策が注目される。

また、フォン・デア・ライエン委員長は、2028年からの次期中期予算計画(MFF)において、競争力強化向け予算の大幅拡大の方向性を打ち出している。こうした中で、予算担当(委員長直轄)にはEU予算の最大受益国であるポーランドのピョートル・セラフィン氏(EPP)を、復興基金とEU予算の約3割を占める結束政策の担当(執行副委員長)には復興基金の最大受益国であるイタリアのラッファエレ・フィット氏(ECR)を指名した。

(吉沼啓介)

(EU)

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