タイ中銀の6月経済金融報告、外国人観光客数と財輸出が減少（タイ）

タイ中央銀行（BOT）は7月31日、6月の月例経済金融報告を発表した。6月のタイ経済は、外国人観光客数と観光収入、財輸出が低下したことにより、前月から鈍化した。他方、民間消費は安定しており、民間投資は微増となった。

工業生産指数は前年同月比1.7％減、前月比（注）でも0.6％減少した。前月比で見ると、複数の業種で低下しており、特に自動車で7.4％減と大きく落ち込んだ。金融機関が自動車ローン貸し出しに慎重だったことや、メーカー間の競争激化による価格のさらなる低下を見込んで購入を遅らせる消費者がいたことなどから、乗用車と商用車の国内販売向け生産が縮小した。

需要面については、民間消費指数が前年同月比1.5％増、前月比0.2％減だった。サービス支出は前年比で6.6％増と拡大したものの、前月比では0.3％減となった。一方、自動車を含む耐久財は前年比12.0％減、前月比4.1％減と低調で、耐久財消費が足を引っ張るかたちが続いている。民間投資は前年同月比1.3％増、前月比0.6％増とともに増加した。

財輸出（金を除く）は前年同月比0.3％増だったが、前月比では0.9％減と鈍化した。特に（1）タイ東部地域でのドリアン収穫期が終了したことによる中国へのドリアン輸出減、（2）香港と日本への通信機器、マレーシアと香港への集積回路のそれぞれ減少、（3）インドへのパーム油、ASEANへの砂糖などの輸出が減少した。しかし、オーストラリア向けの商用車や、ASEAN向けの乗用車、中国や日本、ASEAN向けの石油製品など、一部の輸出品目は増加した。

6月の外国人観光客数は274万400人で、前月比4.4％減だった。特にマレーシアや中国、欧州諸国（ロシアを除く）からの観光客は、前期の好調な伸びから減少に転じた。その結果、季節調整後の観光収入も前月から減少した。

（注）前月比は季節調整済みの数値。

（藤田豊）

（タイ）