2024年の世界経済は低水準ながら安定へ、世界銀行見通し(世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月17日 0時50分
世界銀行は6月11日に「世界経済見通し」〔プレスリリース英文、和文〕を発表した(添付資料表参照)。2024年の世界経済成長率(実質GDP伸び率)は2.6%の予測で、前回見通し(2024年1月)から0.2ポイント上方修正した。2024年の予測は、2024年5月に発表された国連、OECDそれぞれの予測でも上方修正されている(2024年1月19日記事参照)。世界銀行は「世界経済は軟着陸への最終アプローチに入った」としている。
今回の報告は、2024年の世界経済の成長が3年ぶりに安定することを強調しつつも、成長率は近年の水準と比べて低くなる見通しを示した。また、2024~2026年に世界の人口やGDPの80%以上を占める国・地域の成長率が新型コロナウイルス感染拡大以前の10年間の平均(3.1%)を下回ると予測した。
今後の世界経済の見通しは、依然として下振れリスクにより傾いている。具体的には、地政学的緊張の高まりによる商品価格の変動や、分断による貿易の混乱、インフレ持続による金融緩和の遅れ、長期的な金利の高止まりによる経済活動の停滞、気候変動による自然災害などを挙げる。上振れの要因としては、予想よりも早い金融緩和、米国の成長が予想を上回る可能性を示した。
途上国・地域は2024~2025年で平均4%成長するとの予測だが、2023年を下回る。対して、先進国・地域は2024年は1.5%で、前年比横ばい、2025年は1.7%に上昇する見込み。2024年は開発途上国の4分の1で、パンデミック前の2019年よりも貧しい状況が継続すると見込まれる。また、途上国と先進国との所得格差は拡大傾向にある。
世界のインフレ率は2024年に3.5%、2025年に2.9%に低下すると予測する。ただし、低下ペースは前回予測よりも落ちると見込んでいる。その結果、世界銀行は「多くの中央銀行が政策金利の引き下げに慎重な姿勢を維持する」と予想する。2025~2026年の政策金利の平均は約4%の予測で、2000~2019年平均の約2倍に上る。
同見通しでは、2025年と2026年の世界経済の伸び率は、いずれも2.7%と予測している。
(板谷幸歩)
(世界)
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