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中国がEU産乳製品に対する反補助金調査を開始(中国、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月29日 0時50分

中国商務部は8月21日、EUを原産地とする乳製品(注1)に対する反補助金調査を行うと発表した。調査は即日開始し、2025年8月21日までに終了する予定(注2)。調査対象期間は2023年4月1日から2024年3月31日、国内産業の損害調査対象期間は2020年1月1日から2024年3月31日となっている。中国の反補助金条例によると、輸入されている製品に補助金が適用され、中国内の産業に損害を与えていると判断された場合、反補助金税を課すなどの措置が取られる。

同調査は7月29日に中国乳業協会と中国乳製品工業協会が申請したもの。申請を受けて商務部は、8月14日にEUと協議を行ったとしている。

申請で対象とされている補助金は、EUの「共通農業政策(CAP)」によるもののほか、アイルランド、オーストリア、ベルギー、イタリア、クロアチア、フィンランド、ルーマニア、チェコが実施するものなど計20項目となっている。

EUは6月に、2023年10月に開始した中国製バッテリー式電気自動車(BEV)に関する反補助金調査について、暫定的な相殺関税措置を関係者に事前開示(2024年6月14日記事参照)、7月に暫定的な相殺関税措置を発動し(2024年7月8日記事参照)、8月20日には相殺関税措置の最終案を関係者に開示している(2024年8月22日記事参照)。

EUの反補助金調査開始以降、中国は2024年1月にEU産ブランデーに対して、6月にはEU産の豚肉などに対して、アンチダンピング(AD)調査を開始(2024年6月20日記事参照)、7月にはEUの「外国補助金規則」に基づく中国企業への調査方法に対して、貿易投資障壁調査を開始した(2024年7月12日記事参照)。

商務部は8月22日の記者会見で、今回の反補助金調査はEUの相殺関税措置に対する報復ではないかとの質問に対し、「調査は中国内の産業界からの申請によるもので、申請を受けずに突如行われたEUの反補助金調査とは本質的に異なる」とし、WTO規則を順守したものとした。

(注1)食用に用いられるもので、HSコード04015000、04061000、04062000、04063000、04064000、04069000の品目が対象。

(注2)特殊な状況となった場合は、さらに6カ月の延長が可能としている。

(河野円洋)

(中国、EU)

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