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チョン共産党書記長が死去、ラム国家主席が暫定の職務代行(ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月24日 16時0分

ベトナム政府は7月19日、共産党最高指導者のグエン・フー・チョン書記長が首都ハノイ市内の病院で、老衰と病気のため死去したと発表した。80歳だった。前日の18日には、チョン氏が病気療養に専念するため、トー・ラム国家主席に党の中枢業務の権限を委譲することが報じられていた。25日と26日には、共産党、国会、国家主席、政府、祖国戦線(党活動への大衆動員機関)中央委員会が共催で国葬を実施する。2日間の服喪期間は、公的機関や公共の場所で半旗が掲揚され、娯楽活動は停止される。

チョン氏は1944年ハノイ市生まれで、ハノイ市党委員会書記、国会議長などを歴任し、2011年1月に書記長に就任。2015年には公賓として訪日した。党規約では書記長の任期は連続2期10年までと定められているが、2021年1月から、異例の3期目を務めていた(2021年2月8日記事参照)。

近年は公の場に姿を現さないことが増え、健康不安も取りざたされたが、2023年には米国のジョー・バイデン大統領、中国の習近平国家主席、2024年にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領ら各国トップの訪越を相次いで迎え、リーダシップを示した。

内政面では、汚職防止中央指導委員長として自ら反汚職運動を主導した。汚職を厳しく追及する姿勢で党の近代化に取り組み、多くの党幹部や政府高官、企業経営者が処分・逮捕された。2021年からの現党指導部体制下では、当初就任した政治局員(注)18人のうち7人が辞任または解任に追い込まれた。その中にはチョン氏の後継者と目されたボー・バン・トゥオン前国家主席、ブオン・ディン・フエ前国会議長らも含まれる。チョン氏自身は清廉で規範的な指導者として評価された一方、徹底した反汚職運動は党内の権力闘争を招いたという見方もある。

当面は共産党の序列2位であるラム氏が書記長の職務を事実上代行することになるが、書記長の人選を含む新たな指導部体制は、今後政治局が決めるとみられる。スムーズな体制移行による次期指導者の指名が期待されるが、合議による意思決定を欠いたままラム氏が権力を掌握し、より専制的な統治に向かうことを懸念する識者もいる(ロイター通信7月19日)。ラム氏は、2016年から8年にわたり公安相として汚職捜査を指揮し、2024年5月に国家主席に就任したばかりだ(2024年5月24日記事参照)。

(注)政治局員は、中央委員から選出される党の要職。政治局は、党大会や中央委員会の決議の実現を指導・監督し、党の活動方針や人事を実質的に決定する

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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