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マレーシアとEUのFTA交渉、12年の中断を経て再開へ(マレーシア、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月23日 1時25分

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は1月20日、訪問中のベルギー・ブリュッセルで、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とともに、マレーシアとEUの自由貿易協定(FTA)交渉再開を発表した〔マレーシア投資貿易産業省(MITI)欧州委〕。交渉再開後の第1回会合は今後数カ月の間で開催する予定だ。

アンワル首相は交渉再開について、EUとの関係で歴史的な瞬間だと評価した。主要な貿易・投資相手であるEUとの経済的な結びつきを強化する上で、重要な節目を迎えたとその意義を強調した。フォン・デア・ライエン委員長も素晴らしいニュースとし、現在のASEAN議長国のマレーシアとの交渉再開は「マレーシアやASEAN全体との結びつき強化へのコミットメントを再確認するものだ」と述べた。

MITIのザフルル・アジズ大臣と欧州委のマレシュ・シェフチョビチ委員(通商・経済安全保障、EU機構関係・透明性担当)による共同声明も発表された。共同声明では、地政学的状況が変化する今日の状況下で、今回の交渉再開は重要な動きだと強調し、相互利益、新たなビジネス機会、サプライチェーン強靭(きょうじん)化をもたらすような、近代的でダイナミックな自由貿易協定を目指すとした。

MITIによると、マレーシアのEUとの貿易総額は、2024年1~11月に前年同期比5.2%増の2,000億リンギ(約7兆円、1リンギ=約35円)に拡大した。マレーシア首相府によると、EUとのFTA締結により、マレーシアから電気電子やパーム油・同製品、光学機器・科学機器などの輸出拡大が期待される。また、マレーシア政府の新産業マスタープラン2030で目指す産業変革に沿って、グリーンエネルギー、先進製造業などの先端技術を持った分野で、EUからの投資誘致が期待される。

EUにとっては、工業製品の輸入で恩恵が得られ、より良い選択肢と価格で製品が調達できるだけでなく、サプライチェーンの統合・多様化がリスク低減にもつながると期待される。また「労働者の権利と気候・環境保護に関する確固たるコミットメントに基づいて、パートナーシップの構築を目指す」としている。

マレーシアとEUのFTA交渉は2010年10月に立ち上がったが、パーム油(2024年3月12日記事参照)、政府調達、補助金、EUの持続可能性条項などの重要分野で意見の相違があったことで、12年間にわたって交渉が中断されてきた。MITIは2023年9月に、交渉の範囲などを定める(スコーピング)作業を開始し、翌年9月には、EU側の合意があれば交渉再開の準備ができているとする声明を発表していた(2024年9月10日記事参照)。ジェトロが2024年12月にまとめた調査によると、在マレーシア日本企業が同国からの輸出でFTA発効を期待する国・地域として、EUが66.7%と最多で、特に欧州向けに輸出する製造業からは交渉再開が強く期待されていた。

(山口あづ希)

(マレーシア、EU)

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