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新政権として初の秋季予算案発表、公共投資の拡大と増税を実施(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 17時25分

添付資料PDFファイル(141 KB)

英国のレイチェル・リーブス財務相は10月30日、労働党のスターマー新政権として初となる秋季予算案を発表した(添付資料表参照)。経済の安定性を回復しつつ、経済成長の実現に向け、公共投資の拡大を打ち出した。

安定性確保に向けた財政枠組みの強化として、「安定性ルール」と「投資ルール」の2つの新たな財政ルールを導入。安定性ルールについては、日々の歳出については歳入でまかなうとし、借り入れは投資のためにのみ行うとしている。投資ルールでは、公的部門の純金融負債(public sector net financial liabilities)をGDP比で減少させるとしている。政府はこれらのルールを2029年度(2029年4月~2030年3月)に達成するとしている。なお、前政権では公的部門(イングランド銀行を除く)の純債務(public sector net debt)のGDP比が削減対象となっていたことから、今回定義が変更されたことになる。

このほか、歳出見直しの第1段階として、2024年度の各省庁の予算を再編成。2025年の春に第2段階として、政府のミッションに基づく、改革につながるような手法を用いた、より長期の歳出見直しを実施するとしている。

今回の予算については、前政権下で約220億ポンド(約4兆3,780億円、1ポンド=約199円)規模の歳出が裏付けなしに公約されていたことが明らかになったことから、キア・スターマー首相も「痛みを伴うものとなる」として増税を示唆していた(2024年8月28日記事参照)。公約どおり個人所得税や付加価値税(VAT)、法人税などの増税は行われなかった一方、国民保険料の雇用主負担分、キャピタルゲイン税、2軒目の住居に対する印紙・土地税の追加税などが増税された。

公共投資については、今後5年間で1,000億ポンド超を道路、鉄道、学校、病院の整備などに追加で投じるとしている。日々の歳出について、2023年度から2029年度までの期間で、実質ベースで年平均2%拡大させるともした。

今回の発表に合わせて予算責任局(OBR)も経済・財政見通しを発表。実質GDP成長率見通しについては、2024年に1.1%、2025年に2.0%としている。インフレ率については2024年に2.5%、2025年に2.6%と予測している。

(山田恭之)

(英国)

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