大蔵公債省、RECE登録企業の自動在庫管理システム入力を義務化（メキシコ）

メキシコ大蔵公債省は10月14日付の連邦官報で「2024年度の貿易に関する一般規則（SAT貿易細則）と別添1、2、5、24を改定する第2次決議」を公布した。同改正では、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業振興プログラム（IMMEX、注1）に関して、重要な変更を盛り込んだ。

SAT貿易細則別添24（ANEXO24）を改正し、セクションCを追加した。IVA・IEPS保税認定企業やAEO企業（注2）を含む企業認定スキーム登録制度（RECE）で認可を受けた企業が対象となる。主な変更は次のとおり。

当該企業は、SAT貿易細則別添24に記載のセクションAに係る情報（注3）を48時間以内に、電子的に処理可能な自動在庫管理システムで入力しなければならない。
当該企業は税関当局に対し、SAT貿易監査総局（AGACE）に自由書式で、自動在庫管理システムのアクセス権に必要なユーザーIDとパスワードを付与しなければならない。
官報公示日翌日から起算して30日以内までに、当該変更への対応が求められる。

該当企業は改正に対応するシステム構築が急務

セクションCの対応が必要な企業は、RECEに該当する企業に限られる。そのため、IMMEXプログラムに登録されているものの、RECEの認定を受けていない企業については、同改正への対応は不要だ。また、ANEXO24専用の自動在庫管理システムのみで運用している企業にとっては、影響が少ないものの、48時間以内にセクションAでの入出庫情報などの入力が必要となる。

今回の変更に当たって問題となり得るのは、ANEXO24のセクションAに関する情報を企業の基幹システム（ERP）で管理しつつ、ANEXO24専用の自動在庫管理システムに当該情報を手動で入力している場合だ。このケースでは、今回の改正にのっとると、ERPと自動在庫管理システムの統合、または新たな開発が必要となり、かつ同システムを1カ月以内に完成させなければならないことになる。

さらに、自動在庫管理システムのアクセス権をAGACEに付与する必要があるため、企業は、セクションAに関する情報とそれ以外の情報の閲覧権限を分離して管理するシステムを構築しなければならない。そのため、対応するためのシステム構築には相当のコストや作業が必要となり、該当企業への多大な負担が懸念される。

（注1）製品やサービスの輸出を条件に、当該オペレーションに必要な部品・原材料、機械設備の一時輸入（保税輸入）を認めるプログラム。

（注2）IVA・IEPS保税認定とは、一時輸入プログラムを利用して一時輸入する際に、付加価値税（IVA）や生産サービス特別税（IEPS）の支払いを保留（繰り延べ）するための企業認定。AEO認定企業とは、国税庁（SAT）から認定を受け、通関手続きの円滑化や簡素化などの恩典を与えられた企業のこと。

（注3）SAT貿易細則4.3.1条に規定されるIMMEXプログラム登録企業の保税在庫の入庫や出庫など、在庫管理状況に関わる記録。

（阿部眞弘）

（メキシコ）