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米商務省産業安全保障局、輸出管理規則の違反・罰則事例集を更新(米国、中国、ロシア、イラン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月3日 11時30分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は7月1日、輸出管理規則(EAR)違反で行政・刑事罰の対象となった企業や個人の主な事例をまとめた「あなたにもこのようなことが起こらないように!(Don’t Let This Happen to You!)」を更新した。BISは同事例集を2014年7月から公表しており、今回の更新は2024年3月以来、約4カ月ぶり。

事例集は、米国の国家安全保障上の理由などから規制される品目の輸出などに関する違反・罰則事例について、(1)中国、(2)ロシア、(3)イラン、(4)その他の国・地域の仕向け国別に掲載しているほか、(5)反ボイコット法(注1)の違反・罰則事例も掲載している。今回の更新では、米国オレゴン州の運送会社の度重なる輸出規制違反に対して、BISが同運送会社の輸出特権を否認した事例(2024年6月19日記事参照)、インディアナ州の学術機関の輸出規制違反事例(2024年6月26日記事参照)、テキサス州の通信会社の反ボイコット法の違反事例(注2)などを追加で掲載した。

このうち、インディアナ州の学術機関やテキサス州の通信会社の事例は、各当事者が自主的に情報開示を行うなど、BISの調査に全面的に協力したことを紹介している。両事例は、こうした自主的な情報開示などにより、罰金が科されない、または大幅に減額されている。BISは事例集の中でも、EARに違反した可能性がある当事者からの自主的な情報開示をあらためて奨励している(注3)。

BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は報告書の序文で「この報告書は、行政・刑事執行の結果の重大性を強調し、輸出に関係する人々に対し、規則を順守しなかった場合に何が起こり得るかを思い起こさせることを目的としている。ここに掲載している事例の1つになりたくないだろうし、われわれもそのような事態は望んでいない」と報告書の位置づけを説明した上で、輸出に関係する人々に対して「EARを順守する方法について理解を深めるために、最寄りの輸出管理執行局(OEE、注4)と協力することを推奨する」と呼びかけている。

(注1)米国の反ボイコット法は、輸出管理に関する実質的な根拠法の輸出管理改革法(ECRA)の一部として2018年に成立した。具体的には、EARの760条以下に規定され、外国政府が米国の友好国に対して取っている制限的な貿易慣行やボイコット(取引拒否)政策などへ、物品・技術・情報の輸出などに従事している米国人が加担することを禁止する(2024年7月1日記事参照)。

(注2)BISは6月3日、テキサス州の通信会社エアバスDSガバメントソリューションズの反ボイコット法の違反・罰則事例を公表した。2019年にクウェートで開催された展示会に出品する製品の輸出に際して、製品がイスラエルに対するボイコット政策に抵触しないことを証明するインボイス・パッキングリストを運送会社に提供したとの理由に基づく。

(注3)BISの自主的な情報開示(Voluntary Self-Disclosure:VSD)プログラム詳細はBISのウェブサイト参照。2024年1月にはVSD方針の一部改定が発表されている(2024年1月25日記事参照)。

(注4)OEE一覧はBISのウェブページ参照

(葛西泰介)

(米国、中国、ロシア、イラン)

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