世界初の炭素繊維製地下鉄車両が青島で運行開始(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月16日 0時40分
青島地下鉄集団と中国を代表する鉄道車両メーカー、中国中車グループ傘下の中車青島四方機車車両(以下、中車四方)が共同で開発した、世界初の炭素繊維製地下鉄車両「CETROVO 1.0炭素星快軌」が1月10日、正式に運行を開始した。同車両が運行を開始したのは、青島市の地下鉄の中で路線距離が最長の1号線。中国工業情報化部、交通運輸部、中国複合材料学会などの関連機関が、運行開始の記念式典に出席した。
中車四方の紹介によると、同車両の車体や台枠(注1)などの主荷重(注2)構造に、炭素繊維複合材を用いており、同素材の地下鉄車両の主荷重構造への採用実現は世界初。炭素繊維製車両は、従来の車両に比べて軽量、省エネで、乗り心地が良く、強度が高く、レールの摩耗が少なく、運行とメンテナンスに要するコストが抑えられるという。具体的には、車両全体の重量が従来比で約11%、走行中のエネルギー消費量が7%それぞれ削減されることで、1車両当たりで年間約130トン分の二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる。また、従来の車両に比べて衝撃に強く、構造寿命が長くなるため、全ライフサイクルにおけるメンテナンスコストも22%削減できる。
従来、地下鉄車両の分野では、炭素繊維複合材は主に非荷重の部分に応用されていた。青島地下鉄集団と中車四方は共同で、大型で復雑な主荷重構造の一体的な設計、高効率で低コストの成型による製造、全ライフサイクルにおける検証、運行・メンテナンス時の保障などの主要な技術上の課題を突破し、炭素繊維複合材の主荷重構造における商用化を実現した。
軌道車両の運行におけるエネルギー消費の削減やグリーン化・低炭素化を実現する上では、軽量化が重要な手段となっている。炭素繊維製の地下鉄車両は、従来の金属材料構造が抱えていた軽量化における限界を突破し、中国の鉄道車両の軽量化技術のグレードアップを実現した。これにより、中国の都市鉄道交通のグリーン化・低炭素化への転換を推進し、また、複合材料の産業チェーンの発展を牽引することが期待される。
(注1)機械装置や車両などの底部にあって、上部の構造の重量を支え、形状を安定させるための構造。
(注2)構造物に必ず作用すると考えられる荷重のこと。
(董玥涵)
(中国)
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