世界銀行「ビジネス環境」報告書、ルワンダが「業務効率」で50カ国中3位(ルワンダ、タンザニア、コートジボワール、モーリシャス、ガーナ、ボツワナ、レソト、モロッコ、アフリカ、世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月16日 9時55分
世界銀行が10月3日に発表した「ビジネス環境(Business Ready)」報告書は、2021年に廃刊となった「ビジネス環境の現状(Doing Business)」の後継報告書と位置づけられている(注1)。初版となる今回の報告書では、世界50カ国・地域を対象に調査が行われ(2024年10月9日記事参照)、ルワンダ、タンザニア、コートジボワールなど、アフリカ諸国15カ国も対象となった。
各国・地域についての調査項目は、事業参入、事業立地、公共サービス、雇用、金融サービス、貿易、税制、紛争解決、市場の競争環境、廃業という企業のライフサイクルに関わる10のトピックに及ぶ。各トピックはそれぞれ、(1)規制の枠組み(企業活動に関連する一連の規制)、(2)公共サービス(公的施設やインフラを含む)、(3)業務効率の3本柱にそって構成された。
3つの柱で、上位3カ国とアフリカ諸国(注2)の主なランキングは次のとおり(かっこ内はスコア数値)。
〇規制の枠組み
1位:ハンガリー(78.23)
2位:ポルトガル(78.11)
3位:ジョージア(77.67)
17位:ルワンダ(70.35)
21位:モロッコ(68.92)
22位:コートジボワール(68.16)
25位:ガーナ(66.91)
〇公共サービス
1位:エストニア(73.31)
2位:シンガポール(70.40)
3位:クロアチア(70.24)
8位:ルワンダ (67.37)
18位:モロッコ(58.66)
20位:モーリシャス(56.28)
23位:タンザニア(51.56)
〇業務効率
1位:シンガポール(87.33)
2位:ジョージア(84.75)
3位:ルワンダ(81.31)
18位:モーリシャス (69.79)
21位:ボツワナ(67.73)
24位:レソト(66.06)
調査対象の50カ国・地域のうち、幾つかの開発途上国が3つの柱で上位にランクインした。その中でルワンダは公共サービス(8位)と業務効率(3位)で高評価を受けた。世界銀行は、これはビジネス環境の改善があらゆるコンテクストでも可能であり、開発途上国は大規模な外国投資を待つのでなく、正しい方法で改革に取り組むべきであることを示していると指摘した。
地域と所得水準の観点から各トピックの調査結果を見ると、OECD加盟国の高所得国は「金融サービス」と「公共サービス」を除く全てのトピックで、最高水準の平均スコアを獲得している。一方、東アジア・太平洋地域、サブサハラアフリカ地域、中東・北アフリカ(MENA)地域の平均スコアは低い傾向があり、また、地域内でパフォーマンスの格差が大きい。例えば、トピック「事業立地」では、サブサハラアフリカ諸国のスコアは大きくばらつき、ガンビアは33.42、タンザニアは53.62、ルワンダは72.01となっている。
低所得国の中でも、ルワンダは「紛争解決」と「廃業」で高評価を受け、トピックスコアがそれぞれ82.87ポイント、80.20ポイントだった。また、同報告書の横断的テーマの1つ(注3)でもあるデジタルの採用の観点で、ルワンダは「公共サービス」と「市場の競争環境」を除くトピックの全てで、オンラインサービスを採用している(注4)。
なお、報告書には、各国・地域の10のトピックスごとのスコアも掲載されている。
(注1)2020年6月に「ビジネス環境の現状2018」と「ビジネス環境の現状2020」のデータの取り扱いを巡る問題が指摘され、その後の調査・監査を経て廃刊が決定した。
(注2)報告書で対象となったアフリカ諸国は15カ国(ルワンダ、トーゴ、モロッコ、コートジボワール、ガーナ、ボツワナ、タンザニア、モーリシャス、チャド、中央アフリカ共和国、セイシェル、マダガスカル、レソト、シエラレオネ、ガンビア)。
(注3)報告書はトピックと柱のほかに、3つの横断的テーマ(デジタルの採用、環境の持続可能性、ジェンダー)から分析されている。
(注4)ルワンダには、新たな商業用水道接続のオンライン申請など(公共サービス)や、知的財産権保有者が権利を管理できるオンラインプラットフォーム(市場の競争環境)は存在しない。
(吉川菜穂)
(ルワンダ、タンザニア、コートジボワール、モーリシャス、ガーナ、ボツワナ、レソト、モロッコ、アフリカ、世界)
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