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米共和党のバンス上院議員、副大統領候補の指名受諾演説、本選激戦州の中西部を意識(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月19日 14時50分

米国大統領選挙に向けて、J.D.バンス上院議員(共和党、オハイオ州)は7月17日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会で副大統領候補指名受諾演説を行った。共和党の大統領候補に指名されたドナルド・トランプ前大統領は、7月15日に副大統領候補をバンス氏に決定したと発表していた(2024年7月16日記事参照)。

バンス氏は、自身の生まれ育った米国中西部を「首都ワシントンの支配階級によって脇に追いやられ、忘れ去られた地域だ」と述べた。このワシントンの代表的人物としてジョー・バイデン大統領を挙げ、同氏が過去に北米自由貿易協定(NAFTA、注1)、米中貿易関係深化(注2)、イラク攻撃を支持していたと指摘し、「これらによって雇用が海外に奪われ、若者は戦争に駆り出された」「いつも米国の支配者層が小切手を切り、地域社会が代償を支払った」「これまでの数十年間、ワシントンで権力を握り安穏としている少数の人々と、それ以外の人々との間の溝は広がるばかりだった」と述べた。

また、「ウォール街に迎合するのはもうやめよう。われわれは労働者のために全力を尽くす」と強調したほか、「グローバル企業にこびず、米国企業と米国産業のために立ち上がり、労働組合員・非組合員を問わずにすべての働く人々の声に応え、バイデン政権の詐欺まがいの気候変動政策を否定して米国の製造業を取り戻すための指導者として、トランプ氏が必要だ」などと訴えた。その上で、トランプ氏の「米国を再び偉大に(Make America Great Again:MAGA)」のビジョンを列挙した。具体的には次のとおり。(1)外国人労働者の流入を阻み、米国人の雇用と賃金を確保する、(2)米国内でエネルギーを調達する、(3)無制限なグローバル貿易の推進を止め、米国製品の製造を増やす、(4)米国内に工場を建設し、米国人労働者によって米国人家族のための製品を製造する、(5)中国共産党が米国人の犠牲の上に中産階級を築くことを阻止する、(6)同盟国にも世界秩序の確保の重荷を分担させ、米国人納税者の厚意を裏切るような国による「ただ乗り」を認めない、(7)イスラム国(IS)攻撃で示したように、パンチを繰り出すときには激しく繰り出す(注3)、(8)人種にかかわらず米国人を第一優先に考える。

バンス氏は演説で、トランプ前政権を除く、過去数十年間の民主・共和両党の政策を批判的に論じた。バイデン政権だけでなく、共和党主流派も含まれるいわゆる「エスタブリッシュメント層」に対しても批判の矛先を広げたことも特徴的だった。また、自身の出身地である中西部を意識した発言も目立ち、30分強の演説中に出身州のオハイオ州は12回、11月の大統領選挙で激戦州と見込まれるペンシルベニア州とミシガン州はそれぞれ6回言及した。

(注1)NAFTAは、ブッシュ(父)共和党政権下の1992年12月に署名、クリントン民主党政権下の1994年1月に発効、後継の米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の発効に伴って2020年7月に失効した。

(注2)米国はブッシュ(子)共和党政権下の2001年12月に、中国のWTO加盟に伴って、同国に対して最恵国待遇を保証する恒久的正常貿易関係(PNTR)のステータスを供与した。なお、共和党は今回の全国大会で、中国に対するPNTR撤回などを含む政策綱領を採択している(2024年7月9日記事参照)。

(注3)トランプ前政権は、軍事力の抑止効果で平和の確保を図る「力による平和」の考えを外交政策の原則に掲げた(2024年6月25日記事2024年7月10日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国)

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