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EU、標準必須特許の実施料への中国の措置に対し、WTO紛争解決手続き開始(EU、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月29日 0時45分

欧州委員会は1月20日、中国による知的財産分野での不公平で違法な貿易慣行を取り除くとして、中国に対してWTO紛争解決手続きに基づく協議を要請したと発表した(プレスリリース)。EUがWTOに送付した協議の要請文書によると、中国の裁判所は、EUなど中国国外の標準必須特許(standard-essential patent:SEP、注)に対して、特許権者や実施者の同意なしに、グローバルな実施料率を設定しており、このような措置は特許が付与した管轄区域の特許権者や実施者の権利や義務を制限しており、当該管轄区域にある裁判所の能力をも制限しているとしている。この中国の措置はWTOの「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」に違反することから、WTOに対し、中国との協議を要請している。

欧州委のマレシュ・シェフチョビチ委員(通商・経済安全保障、EU機構関係・透明性担当)は「EUの活気あるハイテク産業は、公平かつ平等な条件の下で競争できなければならない。これが実現しない場合、欧州委は彼らの権利を守るために、断固たる措置を講じる。研究開発(R&D)は、将来の技術開発でEUの先進性を確保するためのイノベーションの原動力で、適切な報酬が得られる必要がある。われわれは、これらの不公平な商取引上の慣行に対してWTOで異議を唱える」と主張した。

EUは、標準必須特許での中国による外国訴訟差止命令(anti-suit injunctions)に対しても、WTOで争っており(2022年2月21日記事参照)、欧州委によると、今回のWTOへの要請も、関連があるものとしている。

今後はWTOの紛争解決手続きに沿って、双方で協議が行われる。協議要請から60日以内に解決できなかった場合には、EUは一審に当たる小委員会(パネル)の設置をWTOに要請し、パネルに紛争の解決を付託することができる。

(注)移動通信システムなどの無線通信技術の標準規格に準拠するために不可欠な特許。

(吉森晃、佐藤吉信)

(EU、中国)

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