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トランプ米大統領、アラスカの石油・ガス開発規制を全面緩和する大統領令に署名(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月22日 14時20分

米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日の就任日、エネルギー政策に関連して、5本の大統領令(注)に署名した(2025年1月22日記事参照)。このうち「アラスカの並外れた資源の潜在能力を解き放つ」と題した大統領令は、2023年9月に当時のバイデン政権が北極圏の環境保護を理由に導入した開発規制(2023年9月8日記事参照)を撤廃し、同州での石油・ガス開発を全面的に再開するものとなる。

同大統領令では、バイデン政権下で環境保護や契約の法的欠陥を理由に取り止められたアラスカ産業開発輸出公社(AIDEA)による7区域でのリース契約の復活を指示している。さらに、内務省の2021年6月の命令で一時停止されていた北極圏野生生物保護区(ANWR)での新規リースの発効と、必要な許可と通行権の付与も求めた。同保護区はグリズリーベア、ホッキョクグマ、ハイイロオオカミ、カリブー(トナカイ)と、200種以上の鳥類を含む野生生物の生息地のため、同保護区での掘削は特に議論を呼んでいる。共和党はこの土地を石油の供給源、また地元部族を含む地域経済を活性化させる方法として、長い間注目してきた。

また、アラスカ国家石油保留地(NPRA)での開発規制も見直す。バイデン政権は2023年9月、同地域の約1,300万エーカー(約5万2,600平方キロ)を環境保護区域に指定し、新規の石油・ガス採掘を制限していた。今回の大統領令はこの規制を撤廃し、NPRAの約40%を占める保護区域での新規開発を可能とする。

大統領令では、バイデン政権が導入した環境影響評価の見直しと、必要に応じ新しい包括的な分析を実施する方針を示した。先住民との協議は、狩猟や漁業の権利を考慮しつつ、資源開発との両立を図るとしている。

バイデン政権は2023年9月の規制導入時、「北極圏では地球上の他地域の2倍以上の速さで温暖化が進んでおり、この地域の生態系を保護する措置が必要」との見解を示していた。今後、環境保護と資源開発を巡る政策対立が一層深まる可能性がある。

(注)今回署名した大統領令は、(1)米国のエネルギーを解き放つ、(2)アラスカの並外れた資源の潜在能力を解き放つ、(3)国家エネルギー非常事態の宣言、(4)国際環境協定においても米国を第1に位置づける、(5)外洋大陸棚における洋上風力発電リースからの一時的な撤退と、連邦政府の風力発電プロジェクトに対するリースおよび許可慣行の見直し、の計5本。

(藤田ゆり)

(米国)

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