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6月の米住宅ローン金利は7%弱で推移、住宅価格の先行きは最高裁判決や政権の政策の影響にも注目(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月4日 1時30分

米国連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)は6月27日、6月第4週の住宅ローン金利を公表した。30年固定物住宅ローン金利は6.86%で、引き続き7%に迫る水準ではあるものの、前月末(7.03%)から小幅に低下した。

ただし、5月の住宅関連の指標を見ると、米国商務省が発表した新築住宅販売が年換算で前月比11.3%減の61万9,000戸、全米不動産協会(NAR)が発表した中古住宅販売が同0.7%減の411万戸と低調だったほか、商務省が発表した住宅着工件数が同5.5%減と再びマイナスに転じるなど、住宅市場はおしなべて低調に推移している。全米住宅建設業者協会(NAHB)のシニアエコノミストのファン・ユー・クォ氏は中古住宅販売の落ち込みに関して、住宅ローン金利の高止まりと住宅価格の高騰が要因と指摘しており、不振の要因は前月と変わっていない。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが公表している住宅価格指数も上昇傾向が継続している。

こうした住宅コストの高止まりが家計に与える影響は深刻だ。NAHBが5月に発表した住宅コスト指数(CHI)では、2024年第1四半期(1~3月)に新築住宅を購入した場合、平均的な家庭で世帯収入の38%、低所得者層では77%を住宅ローンの返済に充てる必要があると試算されている。こうした住宅コストの高止まりは、11月の大統領選に向けてドナルド・トランプ前大統領がバイデン政権を批判する材料の1つとなっている(2024年3月14日記事参照)。これに対して、ジャネット・イエレン財務長官は6月24日、(1)低所得者向け住宅の建設の基金プログラム創設、(2)州や地方の住宅金融機関による住宅ローンへの支援、(3)連邦住宅ローン銀行(FHLB)による住宅プログラムへの拠出増などからなる取り組みを発表するなど、バイデン政権も住宅コスト低減の対策を急いでいる。

他方、連邦最高裁判所が6月28日に示した曖昧な法律を政府の規制当局が解釈できる法理(シェブロン法理)を無効化する判決も、今後の住宅価格に影響を及ぼす可能性がある。同判決では「裁判所は、政府の規制当局が法定権限の範囲内で行動したかどうかを判断する際に、独自の判断をしなければならない」と明記しており、これに伴って、環境や医療、消費者安全などを規制する連邦政府機関による一連の措置に対して、異議申し立てが促されることがほぼ確実とされる(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版6月28日)。NAHBは住宅建設の最低エネルギー基準採用について、住宅建設のコスト増につながりかねないと批判しており(2024年6月6日記事参照)、NAHBのカール・ハリス会長はブログで、最高裁判決は環境面や労働面で規制改革を進めるための重要な一歩となると評価している。住宅関連の規制に対する業界団体などからの異議申し立てが実際に認められた場合には、短期的には住宅供給を増加させ、住宅価格の押し下げに寄与する可能性もある。

(加藤翔一)

(米国)

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