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ILO、MENA地域の若者の雇用動向を報告(中東、湾岸協力会議(GCC)、アフリカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月14日 16時25分

ILOは8月12日、中東・北アフリカ(MENA)地域の若者雇用動向に関するレポートを発表した。それによると、2023年の同地域の若者(15~24歳)の失業率は新型コロナウイルス禍前の期間(2015年~2019年)から低下しているものの、24.4%と全地域の中で最も高いとした。特にアラブ諸国の若者の失業率は28%と、北アフリカ(22.3%)に比べても高く、新型コロナ禍前の水準を下回らず、湾岸協力会議(GCC)諸国以外の国々で特に高いと指摘している。世界的には失業率は13.0%(6,490万人相当)で、15年ぶりの低水準となった。

このレポートは世界版も含めて2年おきに発表され、MENA地域の若者の主要な労働市場指標から分析が行われている。同地域の若者の就業率は2019年から0.3ポイント減少の18.5%と、世界平均(35.0%)のほぼ半分で、世界で最も低い。性別による違いも見られ、2023年の男性の若者の失業率と就業率がそれぞれ21.5%と31.9%だったのに対して、女性の若者はそれぞれ35.4%と6.0%になっている。また、アラブ諸国で約1,000万人、北アフリカで約700万人不足する雇用の75%が女性で、男女平等の状態にするには女性の若者の雇用を両地域それぞれ6倍と5倍にする必要がある。さらに、若者のニート率(注1)は世界平均の20.4%に対して、同地域は33.2%(アラブ諸国:33.2%、北アフリカ:31.2%)で、男性が19.2%に対して、女性は44.2%となっている。

ILOは、就業率の低下は教育を受ける若者が増えている前向きな兆候という他地域とは異なり、同地域では若者の雇用状況の悪化を示しており、女性のニート率が高いことは家事や介護の責任が大きく、教育や就職を求めることが難しいことを反映していると分析している。そうした中で、MENA地域の2023年から2050年の間に若年労働力の増加は世界で増加予測の2つの地域のうち1つとしており、2024年、2025年の失業率がそれぞれ24.5%と24.2%、ニート率がそれぞれ31.4%と31.3%と予測している。特にパレスチナ自治区ガザ地区での衝突が他の地域に波及した場合には、経済だけでなく、労働市場も大幅に悪化すると指摘しており、世界価値観調査の最新の結果(注2)も踏まえ、生活水準向上のため、経済成長率(2024年6月28日記事参照)を上げ、包括的に成長することをMENA地域の大きな課題とした。

(注1)ILOでは、若者のうち就業も就学訓練も受けていない若者の割合と定義している。

(注2)最新の結果は次のとおり。

〇若者のうち生活水準が親よりも良いと感じている割合(世界平均:53.4%)

アラブ諸国:40.1%(世界で最も低い)
北アフリカ:46.8%

〇若者のうち職を失うことを心配している割合(世界平均:64%)

アラブ諸国:64.6%
北アフリカ:68.1%

(加藤皓人)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、アフリカ)

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