ドイツの空飛ぶクルマ開発企業リリウム、深セン市にアジア太平洋地域本部を設立(中国、ドイツ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月20日 0時5分
ドイツの電動垂直離着陸機(eVTOL)開発を手掛けるスタートアップ企業のリリウム(Lilium)は6月10日、中国の深セン市宝安区との協力協定締結とともに、同区にアジア太平洋地域本部となる力翎(深セン)航空を4月に設立したことを発表した。
力翎は宝安区の低空経済(注1)産業公共サービスセンターに位置し、同区に地域拠点を設立したヨーロッパのeVTOLメーカーとしては初めて深セン市に進出した。リリウムは今後、同本部を通じて中国やアジア太平洋地域で製品とサービスを販売する。
リリウムは、今後世界のeVTOL市場の約25%を占めることが予想される中国市場で、標準耐空証明(注2)の取得申請を行う予定。同時に、低空経済業界のイベントに積極的に参加し、現地のインフラパートナーや関連機関と協力しながら、同社製品の「リリウムジェット(Lilium Jet)」と現地のインフラとの互換性を確保し、現地のサプライチェーンに新たなチャンスをもたらすとしている。
リリウムのクラウス・ロウ最高経営責任者(CEO)は「中国はeVTOL分野にとって大きなチャンスだ。今回、宝安区との協力で中国での業務範囲をさらに拡大する。リリウムジェットは中国とアジア太平洋地域全体の顧客のニーズを満たすことができると信じている」と述べた。
リリウムジェットは2023年末にドイツ・ミュンヘンのリリウム本社で生産を開始、初めての有人飛行試験を2024年末に行う予定。
(注1)空飛ぶクルマやドローンをはじめとする民用航空機を中心に、乗客・貨物輸送を含めた低空飛行活動によって、関連分野の発展をもたらす経済形態を指す。
(注2)標準耐空証明は、航空機を飛行させるために必要な証明で、1機ごとに検査を行う。取得するには、型式証明を含む航空機の各種資格証明書や、技術、耐空性に関する文書、納入時に当該航空機の技術文書内に規定された物理的特性と機能などの検査が行われる。
(梁梓園)
(中国、ドイツ)
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