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オランダ、難民・移民政策を重視した2025年度予算案を発表(オランダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 10時50分

オランダ政府は9月17日、2025年度(暦年)の予算案を発表した。同予算案においては、ディック・スホーフ内閣が最重要視する難民・移民政策をはじめとし、深刻な住宅不足への対応、個人所得税減税などの税制調整、エネルギー・気候変動対策などについて言及された。

難民・移民政策としては、流入の制限、迅速な手続き、迷惑行為を行う申請者への措置や国境管理の厳格化、渡航制限、強制送還の徹底などにより、現政権においてオランダは移民対策に関して欧州の主導的立場になることを目指しており、2025年分として総額9,500万ユーロを割り当てた。うち4,500万ユーロは国境管理の厳格化に割り当てる。

住宅に関しては、今後数年間での住宅建設への50億ユーロの投資により、毎年10万戸の新築住宅建設を目指す。政府は住宅完成ごとに一定額を支給する自治体向け建設奨励金を導入する。

高技能労働者の確保を狙いとした個人所得税減免制度である30%ルーリング(注)に関しては、2027年から所得税非課税枠を一律27%に引き下げる。同制度を適用可能な給与水準は引き上げられる見込みだ。

エネルギー・気候変動対策としては、消費者の光熱費支払い負担軽減のために年間6,000万ユーロ、各家庭における持続可能な断熱設備への移行を促すための持続可能エネルギー投資補助金(ISDE)制度に5億7,800万ユーロ、電力網混雑緩和対応のために6,500万ユーロを割り当てる。原子力発電所2基の新設に向けては気候基金を通じ141億ユーロ、水素の生産と輸入促進には気候基金や持続可能エネルギー生産促進(SDE)制度を通じ3億5,400万ユーロが割り当てられ、洋上風力発電による電力を用いた初の電解槽が2025年稼働予定だ。産業界のより持続可能な発展のための投資としては2億7,500万ユーロが割り当てられ、パイロットプロジェクトや実証実験に対する補助金(DEI+)などのイノベーションスキームを通じ、気候中立に向けた革新的なソリューション開発などを行う企業への支援も提供される見込みだ。

(注)従来は同制度により、最長5年間は外国企業などからの派遣員の給与所得の30%相当額を非課税所得とみなすことができていた。適用税率改正により、2024年1月1日からは、非課税枠は最初の20カ月間のみ30%、その後の20カ月は20%、最後の20カ月は10%となったが、今回の発表によると、この段階的な30%-20%-10%の低減措置の代わりに、2027年以降は非課税枠を27%とした定額制度が導入される。

(成瀬杏子)

(オランダ)

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