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バイデン米政権、国家安全保障に関するAIの開発・利用指針を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月25日 11時45分

米国のバイデン政権は10月24日、人工知能(AI)の開発や利用に関する国家安全保障覚書(NSM)を発表した。バイデン政権は2023年10月に発令したAIの開発や利用に関する大統領令(2023年11月1日記事参照)で、大統領補佐官(国家安全保障担当)に対し、国家安全保障の確保に向けて連邦政府機関によるAIの開発や利用に関する指針を定めるNSMの策定を指示していた。

ホワイトハウスが同日公表したファクトシートによると、NSMは、先端AI技術の進歩が近い将来、国家安全保障および外交政策に重大な影響を及ぼすとして、米国政府に対して、次の3原則に基づく行動を指示した。

(1)米国が安全・安心・信頼性の高いAIの開発を世界的に主導すること。具体的には、高度なAIシステムの開発に不可欠な先端半導体の供給に向けた半導体サプライチェーンの強靭(きょうじん)化、AIを想定した次世代のスーパーコンピュータなどの技術開発支援、米国のAI開発者に必要なサイバーセキュリティー情報の提供に向けた競争相手の活動に関する情報収集など。

(2)先端AI技術を活用して米国政府の国家安全保障上の任務を推進すること。具体的には、2024年3月に行政管理予算局(OMB)が策定した連邦政府機関のAI利用指針(2024年3月29日記事参照)を補完して、民主的価値観に沿った方法で国家安全保障の任務においてAIを利用することなど。

(3)AIに関する国際的なコンセンサスとガバナンスの推進を目的に、具体的かつ影響力のある措置を講じること。具体的には、米国が主導して2024年3月の国連総会で採択されたAIの開発や利用に関する決議(2024年3月25日記事参照)を例示し、同盟国・パートナー国と協力して人権尊重などの原則に基づくAIの開発と利用に関するガバナンスの枠組みの確立に取り組むなど。

国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード委員長は同日に声明を発表し、NSMについて「先端AIモデルにおける米国のリーダーシップを維持することが、今後数年のわが国の国家安全保障にとって不可欠であることを明確にした」「今後数カ月の間に、AIにおける米国のリーダーシップを強化するためのさらなる措置が講じられる予定だ」と述べた。

なお、米国科学者連盟(FAS)によると、NSMは、国家安全保障に関連する大統領の方針を公布するために用いられ、これまでにバイデン政権下では25件のNSMが発表されている。NSMは将来の政権が取り消しまたは差し替えるまで有効とされる。

(葛西泰介)

(米国)

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