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中国、2030年までに氷雪経済の規模を1兆5,000億元へ(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月12日 1時30分

中国国務院は11月6日、「ウインタースポーツの質の高い発展による氷雪経済の活性化に関する若干の意見」を発表した。意見では、氷雪経済(注1)の規模を2027年までに1兆2,000億元(約25兆2,000億円、1元=約21円)、2030年までには1兆5,000億元にすることを目指す(注2)。

同意見では、(1)ウインタースポーツの推進、(2)氷雪経済の産業チェーンの構築、(3)インフラと関連サービスの整備、(4)氷雪経済分野の有力企業の育成、(5)消費の拡大など、8つの面から具体的な取り組みを盛り込んでいる。

(1)では、一般市民向けのウインタースポーツ普及や青少年ウインタースポーツの推進に取り組むほか、条件を満たす地域で国際競技大会やイベントの開催、氷雪観光プロジェクトを推進するとした。

(2)では、内モンゴル自治区、遼寧省、吉林省、黒龍江省、新疆ウイグル自治区を中心とする北方氷雪経済の先進地域や、北京市から河北省張家口市にかけての一帯で体育文化観光地を建設する。また、北京市延慶区、河北省張家口市崇礼区、黒龍江省尚志市亜布力、吉林省長白山、新疆ウイグル自治区阿勒泰(アルタイ地区)、伊犁(イリ地区)などで氷雪経済の集積地の建設を支援する。

また、アスリートの競技、トレーニング、テスト、リハビリに必要な装備・器材の研究開発を推進する。条件を満たす地域でウインタースポーツ用の装備・器材産業パークの建設を支援する。さらに、この分野の外国の有名企業の対中投資を奨励するとした。

(3)では、古い工場や倉庫、商業施設の改修などを通じて、ウインタースポーツの会場・施設を整備することや、条件を満たす関連設備を大規模設備更新の支援対象(注3)に組み入れることを支援するとした。

また、既存の高等教育機関などでのウインタースポーツや氷雪経済に関する専門科目の設置や、外国人コーチや経営管理者の誘致などによる関連人材の育成や確保、条件を満たす氷雪経済関連企業の上場・再融資、債券発行、資産の証券化を支援することを強化するとした。

中国では、2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、ウインタースポーツ市場が成長を続けている(2024年10月15日付地域・分析レポート参照)。今回の意見は、氷雪産業が直面している課題の解決に向けた措置を盛り込んでおり、今後のウインタースポーツ、氷雪産業の発展に方向性を示している(「新華社」11月7日)。

(注1)氷雪経済とは、雪資源の開発や利用に基づく経済活動で、ウインタースポーツ、観光、文化、教育、関連設備などの産業が含まれる。

(注2)10月11日に開催された2024国際ウインタースポーツ(北京)博覧会(WWSE2024)の開幕式で発表されていた「中国氷雪産業発展研究報告(2024)」によると、2023年の中国氷雪産業の規模は8,900億元、2024年と2025年はそれぞれ9,700億元、1兆53億元に達すると見込まれている。

(注3)中国では、投資と消費の拡大を図るため、中央政府の各部門、各省・市レベルで設備の更新や消費財の買い替えに関する政策が相次いで打ち出されている。詳細については、ジェトロの特集「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」を参照。

(張敏)

(中国)

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